ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥーセンター(パリ)をはじめとする多くの美術館にパーマネント・コレクションとして所蔵されている「バタフライ・スツール」は、日本のデザインが世界で認められた記念すべき作品であり、柳宗理(1915年生まれ)41歳のときのデザインです。日本における工業デザインのパイオニアとして知られる柳宗理ですが、彼のデザインはワークショップにおいて模型を作りながら試行錯誤を繰り返し、検討を重ねることを基本姿勢としています。
手作業の中で使いやすさを追求することにより生まれたデザインが持つ、その独特な優しさを感じさせるフォルムは、生活道具にとどまることなく、公共建築物のデザインにも反映されています。ここ横浜に存在する、横浜市営地下鉄のベンチや消火栓、横浜市西区にある野毛山公園の吊り橋型の歩道橋やかつての園内案内図も、柳宗理が手掛けた公共デザインです。人びとが行き交う風景の中に溶け込むその存在は、柳デザインの主張しない個性といえるでしょう。本展では作品のみならず、製品模型やプロトタイプなどのデザインプロセスを紹介することにより、使い手のためのデザインを貫く柳宗理の思考に迫ります。
世界中で愛されている柳宗理のデザインに触れてみませんか?