水中写真家中村征夫(なかむらいくお)は40年以上にわたり世界の神秘的で美しい海を撮り続けてきました。この展覧会では、彼がライフワークとして30年もの永い間レンズを向けてきた「東京湾」、そしてサンゴと透明な海に囲まれたミクロネシアの「ジープ島」や色とりどりの魚が群れなすエジプトの「紅海」まで、最近作を含む約220点の写真を展示いたします。
これらの写真作品の多くが、鮮やかな色彩で生き生きと動き回る魚たちで満ちあふれ、生命力ある海の世界を繰り広げています。一方、こうした感動を呼ぶ自然豊な海とはひと味違って、東京湾は埋め立ての永い歴史をもち、大工業地帯とコンクリートの護岸や岩礁に囲まれた人工の湾と言えましょう。しかし、中村はこの湾を「東京湾ほどエキサイティングな海はない」と言い放ち、この狭い海に行き続ける無数の生命を、あたたかな眼差しで見守り続けています。
この展覧会をご覧いただいて、多くの方々に地球の7割を占める海の大切さを感じていただければと思います。