鳥海青児(1902-1972)は神奈川県平塚に生まれ、中学生時代から絵画に取組み、1924年の第2回春陽会に入選しました。以後、渡欧を経て油彩画による表現の可能性を探求し続け、重厚なマチエールと深みのある色彩で独自の造形世界を築き、日本洋画史に異彩を放つ存在となりました。
三岸好太郎(1903-1934)は北海道札幌生まれ。札幌での中学時代に絵画を始め、卒業後に上京。1923年に第1回春陽会に入選しました。その後独立美術協会の設立に最年少で参加、画風のめまぐるしい変転を見せた約10年の画業の末、31歳で夭折します。
春陽会への参加を通じて知合った二人は、若手作家のグループ「麓人社」での活動を展開します。また1928年、三岸の故郷である北海道に数ヶ月滞在し札幌で展覧会を開催するなど、切磋琢磨しながら交流を深めました。
本展は、平塚市美術館の所蔵する鳥海青児作品、北海道立三岸好太郎美術館の所蔵する三岸好太郎作品を中心にして構成します。また、未発表の鳥海作品もあわせて出品いたします。これにより、二人の画業を紹介し、あわせて両者の交流が作品に与えた影響を探るものです。