歌川国貞(1786-1864)は江戸末期に活躍した浮世絵師です。後に三代豊国を名乗り、当時の浮世絵界で一大勢力を誇った歌川派を率いました。主に役者絵と美人画を得意とし、美人画では渓斎英泉、歌川国芳と並び人気を博しました。
浮世絵の美人画は、中期の春信や歌麿らの特徴でもある理想的なものから、後期になると現実的で艶めかしいものが好まれるようになります。国貞の美人画は、粋の美学を重んじた当時の江戸の気風を反映して、役者似顔絵にも通ずる写実的で現実的な女性の魅力を描いています。国貞の美人画から、当時の江戸の粋と風流をお楽しみください。