1945年日本敗戦。中国から家族とともに「命」だけをもって引き揚げてきた一人の女性は、その後、自らの体内に関わるものすべてを突き動かすような厳しい情熱を秘め、魂の叫びとともに行動し、そしてひたすらに小説を書き続けてきました。
作家、瀬戸内寂聴さんです。作家生活50周年の節目に文化勲章を受章しました。
「生きることは愛すること。世の中をよくするとか、戦争をしないとか、その根底には愛がある。それを書くのが小説と思う」(文化勲章を受章しての言葉より)
寂聴さんは「切に生きる」ことを自らに厳しく課してきました。一方で、日々の暮らしの細やかな情感を温かな言葉で表現し、天台寺や寂庵での法話にみるように、多くの人々に生きる喜びを伝えてきました。
作家生活50周年 源氏物語千年紀のこの機に、天台寺の仏像や寂庵愛用の品々を含め、寂聴さんのすべてを盛大に展覧します。