福岡県遠賀群出身の多賀谷伊徳(1918-1995)は、独学で油彩を描き始め、具象からシュールを経て、明るい色調の線と面で構成された抽象絵画を確立させました。彼は絵画制作以外に、九州の装飾古墳壁画の調査や芦屋釜の復興に携わるなど、郷土の文化に関わる活動を行い、自らも壁画を制作しています。また、36歳で初めて渡欧し、以後たびたび訪れたヨーロッパの風景を大事にした版画集や、単純化した植物や壁画の下絵などの版画作品も数多く残しています。
今回、春のコレクション展の地元作家コーナー「具象か抽象へ-多賀谷伊徳」に合わせて、彼が手がけた版画作品の中から、花と人と太陽をモチーフにした作品を紹介いたします。