北九州市立美術館は西日本における公立美術館の先駆けとして1974年に開館し、以来、西日本出身作家の作品を中心に近現代美術の収集に力を注いできました。現在、美術館のあゆみとともに7000点にわたるコレクションを収蔵し、常時テーマを持った展示会で紹介をしています。このたび分館では、その豊富なコレクションから北九州ゆかりの平野遼、寺田政明、青柳喜兵衛を中心に西日本作家の作品を一堂に展示します。独自の展開を模作し、個々の表現を見出してきた多彩で創造性に満ちた西日本作家の世界をご堪能いただきたいと思います。
本展で中心となる三人の作家は、いずれも晩年まで旺盛な創作活動を続けた福岡出身の洋画家で、またかれらの画風は時代とともに変化を続けました。本展は、こうした三作家の画業の変遷をたどるとともに、具象から抽象まで個性豊かな西日本作家の油彩画を中心に構成します。美術館の作品を皆様に知っていただき、親しみを持ってもらえるよう作品との出会いを印象深いものにできればと考えています。ゆっくりと作品との対話を楽しみながらご鑑賞いただき、西日本作家の魅力をより身近に感じていただければ幸いです。
そこに響きあう作家たちのささやきが聞こえてくるかもしれません。