九州国立博物館では、室町幕府三代将軍足利義満の歿後600年を記念して、京都五山やゆかりの寺院に伝わる禅文化の名宝を展示いたします。
京都五山の禅文化を初めて総合的に紹介するこの展覧会は、本年の7月31日から東京上野の国立博物館で開催され、会期中、多くの入場者から大好評を得て、9月9日、盛況裡に閉幕したものです。
五山とは、中国南宋時代に、最上位の禅寺五ヶ寺を官寺に指定したことに始まる制度で、わが国の京都五山は、それに倣って制定されたものです。この五山を構成する寺々は、それぞれの時代によって異動がありますが、現在では南禅寺(五山之上)、天龍寺(第1位)、相国寺(第2位)、建仁寺(第3位)、東福寺(第4位)、万寿寺(第5位)の順で確定しています。
今回の展覧会では、足利義満が開いた相国寺から、これまで寺外で公開されたことのなかった本尊・釈迦如来像が特別に出陳されるのを始め、禅僧の肖像画、肖像彫刻や、墨跡、詩画軸、禅宗特有の仏画・仏像、袈裟など国宝、重要文化財多数を含む約200点の作品が展観されます。中国からもたらされた禅の文化が、王朝文化の伝統をもつ京都で受け入れられ、広まっていったようすを、この展覧会を通じてご覧いただければ幸いです。