春、夏、秋、冬と季節の移り変わる日本では、その折々で多彩な色やかたち、香りの花が咲き誇り、私たちの心を慰めてくれます。日本人にとって、花は四季の移ろいの象徴としてきわめて身近なものといえるでしょう。
本展では、美術のなかの花の表現に注目し、日本人が花との関わりの中で育んできた文化を紹介します。
とくに、春を象徴する梅・桜・椿の意匠の美術・工芸作品約三十件を選び、前期は梅・椿を、後期は桜を中心に展示いたします。春の花の表現を通して、花をいつくしんできた日本人の心に息づく繊細な美意識を感じていただければ幸いです。この機会に、花の魅力にせまり、春のイメージをさまざまな花の表現からお楽しみください。季節の茶道具の取り合わせもご覧いただきます。