1840年に勃発したアヘン戦争、二千年余りにわたった帝政は崩壊に向かい、海外列強の侵略が厳しさを増すなか、1912年、中華民国が成立しました。この、清朝末期から民国初期にかけての歴史的転換点にあって、中華民族の伝統文化の再構築を求めた人々は近代美術の創造へと動き出しました。
特に、鴉片戦争後に開港場となった上海は、海外との交易による高度の商品経済の発達と、西方文明の流入により、空前の活況を呈しました。清末の動乱もあり、多くの芸術家が上海に集まり、それぞれが個性ある独自の作風を展開し、中国美術界の一大中心地となり、まさに百家斉放の時代を迎えました。また、日本との文化交流も盛んに行われ、多くの文化人が相互に往来し、中国からは多くの留学生が来日、新しい美術を中国にもたらしてもいます。上海は、近代中国の先端であり、縮図ともいえます。
本展では、台湾の国立故宮博物院、鴻禧美術館、石允文コレクション及び国内のコレクションから集めた19世紀後半から20世紀前半にかけて上海に花開いた美術―書・絵画・篆刻の優品200点を陳列し、中国近代美術の輝かしい成果を紹介いたします。