加来保は1926年に田川郡に生まれ、美術の教師をしながら制作を続けました。行動展に出品を重ね、初期から一貫して平面を組み合わせ、光や空間、動きを感じさせる抽象画を描いてきました。初期の平面作品では、ブルーを基調とした平面が湾曲し、重なり合っています。中期の作品では、オレンジ色を基調とした暖かい色の平面が組み合わされ、それらが光とともに立体的に表現されています。色のグラデーションが効果的に使われ、空間を感じるとともに、優しさが伝わり、見る人に癒しをあたえます。後期の作品では、「絵を壊したかった」と画家自身が語るように、今までにない錆びた鉄のイメージが登場します。ステンレスを思わせる輝く平面と錆びた鉄の対比が見る側に強く迫ってくる作品です。
今回の展覧会では、後期の作品を中心に最新作を加えた絵画約30点を展示します。作家が追及し続けた平面構成の魅力を存分にお楽しみください。