19世紀後半から20世紀前半にかけての芸術界は、今までにない急激な芸術観の変化が世界的な規模で起こった時代でした。特に視覚芸術の世界では、作者の自己表現としての作品制作が始まり、それに伴う表現技法の一大変革が行われることとなりました。
その端緒となったのは、フランスに於ける印象派の出現であったのは周知の事実ですが、その後の展開は当初彼等が意図していた意識の改変をはるかに上回る展開を見せることとなりました。情報と交通の発展は世界をほぼ同時に巻き込む意識変革をもたらし、一挙に絵画の目的や作品のもつ意味までが、それまでとは全く異なる次元で展開されていったのです。
今回は三重県立美術館の収蔵作品を中心に、19世紀印象派とその前後、20世紀の超現実主義、立体派、野獣派、抽象主義、表現主義など特徴的な絵画表現の動向を展示し、誰にでも親しみのある西洋絵画の名作をとおして、近代絵画観の成立と展開を一望します。
また合わせて同時期の彫刻家として名を知られる作家の貴重な版画作品を展示します。画家達との絵画観の違いをお楽しみください。
展示作家
印象派以前:ヨンキント
印象派:モネ、ピサロ、ルノワール、ドガ
超現実主義・幻想絵画:ミロ、シャガール
立体派:ピカソ、ブラック
野獣派:ブラマンク、ルオー
表現主義:ノルデ、キルヒナー、ミュラー
抽象主義:カンディンスキー
彫刻家:ジャコメッティ、マンズー、ムーア、マイヨール