福岡市在住の菊畑茂久馬(きくはたもくま・1935~)は、1950年代後半から1960年代初めに九州での前衛芸術運動を推し進めた九州派に属した作家と知られています。また近代絵画に詳しく、美術評論家としての顔をも持っており、美術史に関する多くの著書があります。70代に入った今も精力的に制作を続けており、新たな作品においても、常に瑞々しい感性が光っています。
当館では、1988年に菊畑茂久馬の個展を開催しました。また月の光を思わせる穏やかな青色が画面を覆う《月光》シリーズの油彩など、多くの作品を所蔵しています。今回の展覧会は、11月3日から福岡県立美術館で開催される「菊畑茂久馬と<もの>語るオブジェ」展にあわせ、当館所蔵の菊畑茂久馬の素描と版画をまとめて展示するものです。軽妙な形態の図形を組み合わせた、菊畑茂久馬による楽しげな素描をお楽しみ下さい。