「日本の海洋画展」は、1986年に計15の省庁・団体の協力を得て第1回展を開催しました。以来、海洋画を通じて海や海に生きる人々を身近なものとして見つめなおし、理解を深めていただきたいとの願いを込めて毎年開催され、今回で第22回を数えます。北九州市では今回が初めての開催です。本展には各会派・団体の枠を越えた、海に関心を持ち、海に共感する現代画家47名の海洋画47点に加えて、野間仁根・野間傅治父子の作品9点が特別出品されます。
野間仁根は、1901年愛媛県今治市吉海町に生まれました。1920年、川端画学校を経て東京美術学校西洋画科に入学します。1924年《ランプのある静物画》が第11回二科展に初入選。以来、1955年に脱会するまで二科会を中心に活躍します。二科会脱会後は鈴木信太郎、高岡徳太郎らと一陽会を結成し、その発展に尽力しつつ画壇の主流からは距離を置き、個展やグループ展を繰り返しました。晩年は、多様な色彩と素早いタッチで故郷の瀬戸内の風景を繰り返し描きました。
野間傅治は、仁根の長男として1935年東京に生まれました。1944年、父とともに愛媛県今治市に疎開します。1958年、東京藝術大学油画科を卒業。その後、パリのアカデミーランソンにて銅版画技法を学びます。1965年第11回一陽会展覧会で青麦賞を受賞。1987年からは一陽会版画部の委員を務め、現代版画の発展に寄与しました。制作は版画のみにとどまらず、今治市で開催された現代美術展などに油彩画も発表しています。
海洋画に描かれた海や海に生きる人々の姿は、私たちが常に海の恩恵を受けて暮らしていることを改めて感じさせてくれるでしょう。豊かな海洋画の世界を楽しんでいただきたいと思います。