大正末期より雑誌や新聞小説の挿絵画家として活躍した林唯一(はやしただいち、1895~1972年)が戦中・戦後に日本各地を旅して郷土の民俗芸能を描いた水彩画約70点とスケッチブックなどを展示。徳島の阿波踊り、岐阜の郡上踊り、新潟の佐渡おけさ、沖縄の鳩間節などが水彩によって精緻に描写されています。描かれた人々の所作に彼の視線をかいま見ることができます。
林 唯一(1895~1972)
香川県高松市に生まれる。
大阪・天彩画塾や東京・川端画学校で西洋画を学んだ後、大正末期より少年・少女雑誌の表紙絵や大衆雑誌・新聞小説などの挿絵を手がけ、人気を博す。その後、第二次大戦に報道班員として従軍。戦地ラバウルで取材を行い、兵士たちや戦闘機などを描く。また軍の慰問画家として日本各地を旅し、北海道・夕張、九州・三池の選炭婦や農山漁村で働く人々も描いた。戦後は、家の光協会の依頼で頻繁に各地に取材旅行に出かけ、また、講談社世界名作全集など児童文学の挿絵を描いた。1972年、77歳で没す。