知る人ぞ知る、画家の中の画家
フランスの画家・詩人、アンリ・ミショーは、文字とも形ともつかない原初的イメージによるドローイングを、1930年代から半世紀にわたって描きつづけました。メスカリン(幻覚をもたらす麻薬の一種)を服用しながら言葉とイメージが発生する地点を探求したドローイングはあまりにも有名であり、フランシス・ベーコンなど20世紀以降の画家の多くに、大きな影響を与えています.
彼の作品は常に、流れるような運動感を帯び、エネルギーの奔流に満ちています。そして、その中に、いつしか無数の人間の姿が浮かびあがるのです。今回の展覧会は、とりわけこの人物像の発生に注目しつつ、ミショーの世界を探ろうとするものです。
初期から晩年に至る約60点の代表的作品によって構成されるこのミショー展は、日本では1983年の西武美術館での個展以来、約四半世紀ぶりとなります。「画家のなかの画家」とよばれるこの希有なアーティストの展覧会を、どうぞお見逃しなく!