独立行政法人国立博物館と独立行政法人文化財研究所の統合を機に、海外に所在する日本古美術品の保存修復事業について紹介する特集陳列を行います。
「在外日本古美術品保存修復事業」は、1991年に文化庁、外務省、国際交流基金、東京文化財研究所が共同で、アメリカ合衆国の美術館や博物館が所蔵する日本絵画の修復に協力することを目的として始められました。その後、調査範囲をヨーロッパの諸国へ拡大し、さらに絵画のほかに漆芸品や武器、武具なども調査対象に加えました。現在までに東京文化財研究所が修復協力した美術館や博物館は44館、そして修復した作品は323点に上っています。海外で収蔵されている日本美術品は、国内の美術品と比較して損傷の激しい作品が多く、さらに日本の材料と技術で作られているために海外の技術で修復することが難しいため、日本へ作品を安全に輸送して国内の工房に持ち込み、専門の修復家によって修理を行っています。
今回は、2006年度に修復が完了した、「源平合戦図屏風」など絵画5点と工芸品「山水人物蒔絵箪笥」を展示します。我が国の文化による国際貢献・協力の一端をご覧ください。
<展示作品>
「見立反魂香図」
歌川豊春筆
江戸時代・19世紀
「明皇蝶幸図屏風」
作者不詳
安土桃山~江戸時代・16世紀末~17世紀初
「保元物語図屏風」
作者不詳
江戸時代・17世紀
「源平合戦図屏風」
作者不詳
江戸時代・17世紀
「洛中洛外図屏風」
作者不詳
江戸時代・17世紀
「山水人物蒔絵箪笥」
作者不詳
江戸時代・18世紀