身近な風俗を題材として描かれてきた浮世絵は、その時代の世相を映す鏡ともいえます。とりわけ、江戸から明治という激動の時代に描かれた浮世絵には、海外からの新奇な絵具が積極的に取り入れられ、その華やかな色彩とともに新しい時代の幕開けが感じられます。徳川美術館には、尾張家十三代慶臧(よしつぐ)が親しんだ歴史説話や街道シリーズのほか、色鮮やかな役者絵や源氏絵、子供向けのおもちゃ絵、明治の日清・日露戦争を題材にした戦争画、大奥の風俗を描いた浮世絵などさまざまなジャンルの浮世絵が所蔵されています。館蔵の浮世絵を中心に、当時の人々だけでなく殿様までもが、見て学び、遊び楽しんだ幕末から明治の浮世絵の世界を紹介いたします。