フランスのモントーバンに生まれたエミール=アントワーヌ・ブールデル(1861-1929)は、「近代彫刻の父」「ロダンの改革者」といわれています。ブールデルはロダンの助手として造形の秘技を的確に把握した後、師ロダンとは異なった精神性に富んだ構築的な作風を生み出し、独自の世界を創り出しました。
本展覧会は、パリ・ブールデル美術館の全面的な協力のもと、偉大なる彫刻家ブールデルの全貌を各時代の代表作を網羅した彫刻、素描、水彩画、124点によって紹介しようとするものです。実に日本では20年ぶりに行われるブールデルの大規模な展覧会です。
今回出品される作品の中には、ブールデルが生涯敬愛してやまなかった大作曲家ベートーヴェンの肖像彫刻シリーズや、師であるロダンに「君は私を乗り越えた」と言わしめた《アポロンの首》、ブールデル芸術の頂点を示すと言われている《弓をひくヘラクレス》、《アルヴァアル将軍記念碑》があります。また穏やかで優美なリズムのある《ペネロープ》他、《果実》、《セレーネ》、《女流彫刻家》など女性像も見逃せない作品です。
壮大で生気あふれる構築の中に、リリシズムを感じさせるブールデルの作品は、私たちに深い感動を呼び起こすことでしょう。この展覧会で、一人でも多くの方々にブールデル芸術の真髄に触れていただきたいと思います。