奥村土牛は近代現代の日本美術史上重要な作家のひとりであり、同時に再考日本美術院の代表的作家です。土牛は明治22年、東京に生まれ、梶田半古塾に入門後は兄弟子である小林古径の指導を受けました。しかし、画壇へのデビューは遅く、院展に初入選したのは38歳のときでした。以来、真摯な制作態度を崩さず、80歳代、90歳代になってから代表作、傑作を生み出したのです。平成2年に101歳で亡くなるまで、絵筆を握り続けた、まさに大器晩成の巨匠でありました。当館は土牛の代表作の多くを所蔵しており、その中から名品を選りすぐり展示する本展で、土牛の画業の再認識と近代から現代への美術の流れの一端をみることができるでしょう。