佐藤好彦(1968年生)は1993年に東京藝術大学大学院修士課程を修了後、
2002年にキリンアートアワードにて12本ネックのエレキギターでグランプリを受賞、
国内外で立体作品を中心に発表をしています。
佐藤は工業製品の「カタチ」をユニークに引き伸ばしたり、増殖させるとことで
それの持つ本質を露呈させます。モチーフは佐藤の制作の根源である音楽に関する
ものが多く、その「カタチ」は純粋なる精神のみを残し再編成されます。
昨年ヴァイスフェルトにて、スピーカーと映画という製品をモチーフにした、
巨大なスピーカー'Model 432001'で鮮烈なデビューをとげた佐藤の今回の新作は、
自らのルーツをたどり、自身に内在するエネルギーの生成に着想を得た作品です。
本展ではカラフルに組み合わせたミニマルな立体ペインティングのように「エフェ
クター」群が空間を彩ります。ギターの音色に変化を与える「エフェクター」を、
無限大に可能性を引き出せる魔法の箱のように感じていたと佐藤は言います。
何かにあこがれ、未知なる可能性をイメージすること。そこにひそむ無垢で純粋な
「勘違い」こそ「とんでもないエネルギー」を生み出すにちがいない。
そんな人間の思考にカタチをもたせたようなエネルギーの生成装置が、
ポップな彩りで響くような空間を演出いたします。
佐藤の新たな視点から広がる今回の新作展をぜひともご紹介下さいますよう、
宜しくお願い申し上げます。