かつては子どもの人生の節々に人形を贈る習慣がありました。人形は子どもの身におこる厄災や穢れを負い、その成長を守る役目をもっているからです。今でも宮中には、こうした人形文化が伝えられています。誕生のとき枕もとに置かれる「天児」(あまがつ)や「犬筥」(いぬばこ)、初節句に贈られる「御台人形」(おだいにんぎょう)、清楚な顔立ちの「献上雛」(けんじょうびな)、端午の節句の「檜兜」(ひのきかぶと)…それらはお子様が成長されると、お側に仕える者に下賜されました。
今回は特別企画として、吉徳資料室所蔵の宮中ゆかりの人形の数々を紹介いたします。