「美術とこころの旅展」とは、「本物の作品そのものをしっかり見てほしい。」「同じ作品でも、いろんな見方や、受けとめ方があることに気づいてほしい。」という願いから、生まれた新しい試みの展覧会です。
鑑賞活動のあり方を問い直すこの展覧会は、2004年11月に第1回「美術とこころの旅展」として、開催されました。
今回の「美術とこころの旅展」のキーワードは、〈見つめる・感じる・考える〉。
作品そのものと向き合い、自分の思いを再確認し、さらに掘り下げて考えるためのしかけが、会場のあちこちにつくられています。
美術・教育関係者の協力を得ながら、坂本繁二郎、岸田劉生、古賀春江から、ドガ、ルオー、ピカソ、バスキアなど、魅力ある作品を選定し、作品との新しい出合いを大切にした展示方法の工夫を行っています。
この展覧会のポスターにもなっているジャン=ミシェル=バスキアの〈消防士〉。会場で出会うと一見落書きのように奔放に描かれた荒っぽく力強い表現とその大きさ(164.8×230.0cm)に目を奪われることでしょう。でもジーッと見つめてみると・・・。
「何が描いてあるの?」「さあ、この絵の中でいったい何が起こっているのでしょう?」
こんな鑑賞のアプローチが美術ボランティアとのギャラリートークや、ワークシートでできます。
また、作品についての自分の思いを紙に書き、展示室に残すことによって、他の人の作品に対する見方や感じ方を知ることができるコーナーも設置しています。
鑑賞終了後には、作品や作者についての情報を知りたいと感じた鑑賞者のために展示作品について解説のあるガイドカードを持ち帰ることができるようにしています。
さらに、会場で学校の先生が生徒に提案授業をする企画もあります。
「見ることを自由に楽しみながら、他の人と感想を交流したり、視点を変えてみたり。
〈見つめる・感じる・考える〉ことを通してこの会場で、新たな自分を発見する旅をイメージして。「美術とこころの旅展」は、体験型の新しい鑑賞活動が楽しめる展覧会です。