フランスの女性作家、マリ=アンジュ・ギュミノ(1960年生まれ)は、1990年代から布地を使ったユニークな作品によって、ジェンダーや身体、コミュニケーションなどをテーマにした優れた活動を展開してきました。1997年のヴェニス・ビエンナーレ、同年のミュンスター彫刻展など、国際展にも多数参加しています。
1998年、広島で開催されたヒロシマ・アート・ドキュメントに出品するために来広したギュミノは、ヒロシマに強い衝撃を受け、写真家、土田ヒロミが撮影した被爆遺物の写真集、『ヒロシマ・コレクション』を参照しつつ、ヒロシマに関連した作品を制作しました。被爆者が着ていた衣服を細かく採寸し、白い布で正確に再現した作品「ヒロシマの白い服」です。これを中心とした「プロジェクト」展は、本国フランスで2001-2002年に開催されました。
被爆60周年にあたる年に広島で開催する本展覧会は、これら彼女の制作してきた作品を中心に、関連する作品や資料を加え、この作家が捉えたヒロシマを総合的に紹介し、新しい角度からヒロシマと美術の関係を探ります。