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工藤麻紀子 「わたしとみる」 Makiko Kudo “Seeing With Myself”

Venue

小山登美夫ギャラリー京橋

TOMIO KOYAMA GALLERY KYOBASHI

Period

2025.8.27 [Wed.] - 9.27 [Sat.]

Exhibition Outline

工藤麻紀子 「わたしとみる」 クドウマキコ 「ワタシトミル」

Makiko Kudo “Seeing With Myself”

この度小山登美夫ギャラリー京橋では、工藤麻紀子展「わたしとみる」を開催いたします。本展は作家にとって当ギャラリーにおける3年ぶり9度目、また京橋スペースでの初の個展となり、新作ペインティング、ドローイングを発表いたします。

【工藤麻紀子と作品について
ー繊細な感性で受け止める、独創的な日常に光り輝く大きな物語性】
工藤は、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーディレクター、キュレーター、美術評論家)との対話の中で、創作のプロセスを問われた際次のように述べました。

「いつも通る道にあったりするのに急に光って見える瞬間があって、光の加減なのかその時の自分の気持ちと風景が合わさって印象的に見えるのかわからないけどそういう瞬間を絵にします、または頭の箱にいろいろな情報が入っていてそれらが急に結びついて絵になったりします。それを下書きはほぼしないでキャンバスに描きます。」
「私が光を描いたつもりで残した作品は微かにでも光っていたらうれしいなと今は思います。」*1

このように、工藤は普段見逃しがちな日々の景色や物事を独特な感受性で受け止め、自身の感情や記憶を通してイメージを構築します。そして日常に光り輝く大きな物語性を色彩あふれるダイナミック且つ繊細な表現で画面に描いていきます。

そのどこにも分類できないような独創性あふれる世界観は国内外で高い評価を得ており、主な個展に「工藤麻紀子展 花が咲いて存在に気が付くみたいな」(平塚市美術館、2022年)、Wilkinson Gallery(ロンドン、2015年、2012年)、Marc Foxx Gallery(ロサンゼルス、2011年)などがあり、主なグループ展に「Unnatural Nature: Post-Pop Landscapes」(アクアベラギャラリー、ニューヨーク、2022年)、サーチギャラリー(ロンドン、2017年、2013年)があり、現在弘前れんが倉庫美術館で開催中の「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」に出展しています。作品は、フォートワース近代美術館、ロサンゼルス現代美術館、バークレー美術館 パシフィックフィルムアーカイブなどに収蔵されています。

その他の詳しい作家情報はこちらをご覧ください:
https://tomiokoyamagallery.com/artists/makiko-kudo/

【本展および新作に関して
ー「わたしとみる」過去の自分と一緒に見る景色】
今回の展覧会タイトル「わたしとみる」、および新作に関して、工藤は次のように述べています。
「過去色んなところにいた自分がまだうっすらそこにいるような感覚があって過去の自分と一緒に景色を見るような、鑑賞者もそういう感覚で見れるといいなと思って制作しました。」

工藤の作品は、作家自身「目にしたものをそのまま描いている」としながらも、いる場所や時代からの影響を大きく受けており、今生活しているエリアの風景に、幼少期過ごした田舎の景色が重なるような「心象風景の再構築」や時間の交錯が特徴的に現れています。

工藤は「人と自然が混じって自然が負けじとしているようなところと水辺が好き」*1と語るように、その作品には人と自然が現れているものが多く、人間が自然の中にいたり、その一部となったり、それぞれ存在しているものは交わり合いながらもすべて対等な関係を有しているようです。

タイトルが展覧会と同じ作品「わたしとみる」は、水面に映る自身の顔をごく間近で凝視するような視線の力強さを感じますが、それは現在と過去といった、自分であっても自分でないような存在同士が対峙しているようにも見えます。
「水を見ると覗きこむ癖があります、澄んでいてもでも表面しか見えなくなって線に見えてきたりして、奇妙な感じがするんです。(中略)質量があって中に入れる実感が大事なのかも。」*1

「ひるによる」は、数年前に町田ダリア園を訪れた際、花々があまりに激しく美しく、生命感強く勢いに圧倒され、当時は絵にするのが難しかったけれど、今ならできると描きました。
印象的なタイトルは、絵の上部がひる、下部がよるとし、「ひるによるを思う」、「昼も夜もなく過ごす」、「ひるに寄る」等、そんなイメージが思い浮かび、字面の良さや詩的な雰囲気が醸し出されます。
モチーフの人物は、そんな花々の鮮やかさの中で、体育座りで黙々と本を読み、悲しいような、楽しいような、明るいようなそうでないような、取り止めのない思春期ならではの感情が表れているようです。

同じ自分、同じ場所でも、時間の経過や光の当たり方の違いで劇的に光ってみえたり、クリアに現れたり、風景と感情、見えるもの見えないもの、相反するものがあわさって、その存在にはっと気づかされる。そんな日常との深い対話が、世界を変化させ、その光り輝くエネルギーを顕在化させることを、工藤作品は私たちに伝えてくれていると言えるでしょう。この貴重な機会にぜひお越しください。

*1 「ハンス・ウルリッヒ・オブリストと工藤麻紀子の対話」『工藤麻紀子 空気に生まれかわる』美術出版社、2022年

Sponsership and Cooperation
協力:Matterport by wonderstock_photo
Closing Days
日月祝 休
Opening Hours
11:00 ~ 19:00
Exhibition Website
https://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/kudo2025/

Events

オープニングレセプション:8月27日[水]17:00 - 19:00

Access Information

小山登美夫ギャラリー京橋 コヤマトミオギャラリーキョウバシ

TOMIO KOYAMA GALLERY KYOBASHI

Address
〒104-0031
中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 3F
Website
https://tomiokoyamagallery.com/
Updated Date:2025.9.30
Created Date:2025.9.30