ID:75338
虎尾裕 新作展《森林限界を行く》 Yutaka Torao "Going to the Timberline"
Venue
ヒノギャラリー
hino gallery
Period
2024年1月15日 ー 2024年2月3日
Exhibition Outline
虎尾裕 新作展《森林限界を行く》 トラオユタカ シンサクテン《シンリンゲンカイヲイク》
Yutaka Torao "Going to the Timberline"
ヒノギャラリーでは2024年1月15日(月)より「虎尾裕 新作展《森林限界を行く》」を開催いたします。
人生はたびたび登山に例えられることがありますが、虎尾はそこに「彫刻」を加えて語ることのできる稀な作家かもしれません。1980年代より石を主材に制作を始め、その作品のほとんどは、森や山脈といった自然のなかで作家が得た感覚、またそこで感じ見た光景によって生み出されています。そもそも天然物を素材とし、少しずつ彫り進める石彫という行為は、自然へ分け入って、一歩一歩頂を目指す登山とどこか共通するように感じますが、虎尾はその二つの営為を、自身が媒介となって相互に作用させながら、独自の作品をつくり出すことを続けてきました。
虎尾は近年、「何処か美しい山域に導かれ、麓から頂へ辿るアプローチの行動における連続する情景を複合的に捉えるため」に「タイトルの一部に動的な言葉を挿入」するようになったといい、それは、作家が山岳体験で知覚したあらゆる情景や断片的なイメージを石塊で再構築するという、これまでの制作における試行とつながります。しかし今回、「一度これらの表現手法を排除して」みたといいます。石に複合的なイメージの表出を求めるのではなく、もっと生身の、身体性に委ねた制作を目指し、インプットとなる実際の登山においては、山域を限定、峰々を日をかけて縦走し、ひとつの山頂を往復するなど、より内的で克己的な反復行動へと制限することで、自身に宿った身体感覚が何らかのかたちで石へと表れ出ることを期待しました。これはイメージや情景といったうつろいやすい事象を拠りどころとしたこれまでの手法に比べ、より直截的で具体性を求める試みといえ、作品名に含まれる動的な言葉がまた、身体との結び付きを一層深いものにしています。
これらの行為はさながら修行のようにも思えますが、今回の展覧会に付されたタイトルが示唆するように、ある領域へと達し、それを超えてはじめて、まだ見ぬ世界や表現に触れることができると、虎尾はこれまでの経験から確信しており、だからこそ歩みを止めず、手を動かし続けているのかもしれません。
生活においては、3月で長年務めてきた教育の現場を離れ、ひとつの大きな節目を迎える虎尾ですが、彼にとって悠々たる安住の意識は、少なくとも今回の展覧会に向けては感じられず、むしろ、新たな境地を目指し、さらなる一歩を踏み込んでいこうと臨む意欲がうかがえます。その姿勢は今回の新作においてどう現れているのか、是非ご高覧くださいませ。
- Exhibition Website
- http://www.hinogallery.com/2023/3104/
Access Information
ヒノギャラリー ヒノギャラリー
hino gallery
- Address
-
〒104-0042
中央区入船2-4-3マスダビル1F - Website
- http://www.hinogallery.com/
Created Date:2024.1.10