ID:71993
松田豊美 展
EXHIBITION
Toyomi Matsuda
Venue
Oギャラリーeyes
O Gallery eyes
Period
2022年12月5日(月)-12月17日(土)
Exhibition Outline
松田豊美 展 マツダトヨミ テン
EXHIBITION
Toyomi Matsuda
松田豊美―The very thing
松田豊美は自らの作品を、一貫して≪The very thing≫と名付けてきている。直訳すれば、「まさにその物」や「ほかならぬその事」。松田自身は、おそらく「itself」というニュアンスも込めて、「そのもの」という言葉をそのタイトルに関してよく用いている。
松田の絵画は、何かを再現したものではもちろんない。かと言って、何かを抽象化したものでもない。また、何かを象徴的に描いたものでもないし、何かを連想させようとするものでもない。端的に言えば、それは、何かの代わりとしての「イメージ」ではない、そこにあるがままの絵画表現。それを松田は追求し続けている。
しかしながら松田はある時、自分は決して「画面だけの表現」を模索しているのではなく、「世界の一端」を感じながら描いている、とも言っている(2022年4月8日のステートメント)。最初私は一瞬、それは彼女の言う「そのもの」ということと趣旨の異なる発言のように感じたのだが、よく考えれば、そんなことはなく、むしろ非常に納得がいった。もし彼女の制作が「画面だけの表現」であれば、それは結局のところ、「イメージ」というものに取り込まれてしまうことになるのではないか。絵画における「イメージ」というものは、それほどに柔軟で執拗なものである。(そして、だからこそ「絵画」は奥が深い)。「そのもの」を追求する松田の絵画は、その表現自体が世界の一構成要素としての存在性を確かに備えた時、まさに「そのもの」となりうるということだろうか。そんなことが可能なのかどうかということも含めて、私は松田の仕事に注目している。
いずれにせよ松田の絵画は、1950年代の抽象表現主義の様式との表面的な類似性を思わせる場合があるが、それを乗り越えるためのひとつの可能性は、彼女の色彩感覚にあるように私は感じている。レッド、ブルー、イエロー、グリーン、オレンジ、パープル、ピンクといったさまざまな鮮やかな色彩を、けばけばしくなってしまう手前のところで次々と力強く使い、画面を作り上げていく彼女のセンスは特筆に値する。
他方では、松田独自の「そのもの」の追求ということがいっそう深まり進んでいけば、上記の表面的な問題は自ずと解消されていくような気もする。大きな期待をもって、彼女の仕事を見守ってゆきたい。
大島徹也(多摩美術大学准教授)
- Sponsership and Cooperation
- テキスト:大島徹也(多摩美術大学准教授)
- Closing Days
- <日曜日・休廊>
- Opening Hours
- 11:00 ~ 19:00
- 土曜日17:00
Access Information
Oギャラリーeyes O ギャラリー eyes
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-
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Created Date:2022.10.26