ID:71012
今道由教 展
EXHIBITION
Yoshinori Imamichi
Venue
Oギャラリーeyes
O Gallery eyes
Period
2022年7月25日(月)-7月30日(土)
Exhibition Outline
今道由教 展 イマミチヨシノリ テン
EXHIBITION
Yoshinori Imamichi
今道由教の仕事は心許ない。そこに何が描かれているのか、客観的には分からないから。たとえば、ぐりぐりと筆を小さく回転させてできた筆跡の集積や、輪郭ならざる線のたゆたい。1992年から始まるそれら初期作品からしてすでに、事物の本質を捉えるとか、理念にかたちを与えるとか、そんな抽象をめぐる問いは思慮の埒外に置かれていた。今道のねらいは何かを描くことではなく「絵を立ち上げること」、つまりイメージの生成それ自体である。絵具の塊が、筆跡が、何かのかたちに「なる」手前で踏みとどまり、ずっと何かの予兆であり続けるという、そんな作品を前にしたとき、鑑賞者は読まずに、立ち会うことになるだろう。画面上に絵はない、でもいま、眼にはそれがぼんやりと浮かび上がりつつある、といった仕方で。近作のタイトルとしてしばしば用いられる「出来事」という言葉は、こうした事態に対する、より正確な表現となりえている。
2016年以降、今道は短形という前提を捨てた。と同時に、塗るという行為が後景に退き、作品のサイズも小さくなっていく。たとえばトレーシングペーパーの表裏に、異なる色の、細かい線を印刷し、それを折り紙よろしく畳んでいく、とか。せっかく塗った紙をくしゃくしゃに丸めてみる、とか。あるいは、破って折って重ねて画面をつくっていく、とか。「絵を立ち上げる」ためには、大仰な画面も身ぶりも必要なく、むしろ非絵画的に手がけていても絵は否応なく生起してくるのだと、今道はこれらの作品をとおして証明しようと試みる。
今道由教は画家である。が、必ずしも絵画(ペインティング)の作り手とは言えない。歴史的かつ制度的な営みである絵画から距離をおき、別なる描きを見つけるため、彼はつねに絵(ピクチャー)にこそ照準を合わせてきた。非歴史的、ゆえに心許ない今道の絵は、たしかにその意義を捉えがたい。でもそれは、描くことに関する私たちの認識をたしかに塗り替えてくれる。
福元崇志(国立国際美術館 主任研究員)
- Opening Hours
- 11:00 ~ 19:00
- 土曜日17:00
Access Information
Oギャラリーeyes O ギャラリー eyes
O Gallery eyes
- Address
-
〒530-0047
大阪市北区西天満4-10-18 石之ビル3F - Website
- http://www2.osk.3web.ne.jp/~oeyes/
Created Date:2022.6.15