ID:56147

澁澤龍彥

ドラコニアの地平

Venue

世田谷文学館

SETAGAYA LITERARY MUSEUM

Period

2017 10/7[sat]-12/17[sun]

Exhibition Outline

澁澤龍彥 シブサワタツヒコ ドラコニアの地平

フランス文学者であり、翻訳、評論、エッセー、小説にわたる多くの作品を執筆した澁澤龍彥。没後30年を迎える本展では、独自の文学表現活動を「澁澤スタイル」として、その創作と足跡をあらたな視点から総覧します。
澁澤はサドをはじめとする異色の文学を出発点としました。転機となったエッセー集『夢の宇宙誌』、代表作『高丘親王航海記』など300点を超える草稿・原稿・創作メモ類の自筆資料、愛蔵の美術品やオブジェ、和洋の蔵書などから、表現活動の背景と博物誌的魅力に迫ります。伸縮自在な澁澤龍彥の創作世界、ドラコニアの領域にようこそ。

Organizer
公益財団法人せたがや文化財団 世田谷文学館
Sponsership and Cooperation
[監修]巖谷國士、菅野昭正
[助成]公益財団法人朝日新聞文化財団
[後援]世田谷区、世田谷区教育委員会
Closing Days
毎週月曜日休館(10月9日は開館、翌10日休館)
Opening Hours
10:00 ~ 18:00
[展示会入場、ミュージアムショップは17:30まで]
Admission (tax included)
一般800(640)円、65歳以上・高校・大学生600(480)円、小・中学生300(240)円、障害者手帳をお持ちの方400(320)円
※( )内は20名以上の団体料金
※「せたがやアーツカード」割引あり
※10月13日(金)は65歳以上無料
Exhibition Website
http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

Events

関連イベント情報
①連続講座「夢と綺想の球体 澁澤龍彥」後期
―開催にあたって―
澁澤龍彦氏の紡ぎだした文学世界をあらためて振りかえってみると、まことに多彩な側面が妍(けん)を競うようにひしめいているのに、驚かされずにいられません。
異端、暗黒、綺想、幻想、夢想、エロス、怪異、幻妖等々… もっと数えあげようとすれば切りがなくなります。また、視点を変えて眺めると、錬金術、占星術、魔術学、神秘学、悪魔学、妖怪学など、いささか物々しい、名称の側面に区分けすることができます。それどころか、プラトンとかヘーゲルが引合いに出されることもあるのですから、哲学、形而上学を加えてもおかしくないでしょう。
よく知られるとおり、澁澤氏は古今東西の書物を渉猟することにかけて、超一流の耽読家でした。ただし一般の文学史で正当と認められたり、これぞ主流と公認されているような作家作品は、敬して遠ざけつづけていました。澁澤氏は偏愛という言葉を好んで使っていましたが、その偏愛の網に掬いあげられたのは、いわば大道に組みいれられない奇聞異類の書でした(偏愛の最たるものだったプリニウス『博物誌』の位置も、微妙なところにあります)。
美術もまた澁澤氏の大事な狩猟場でした。また、人形や諸々の奇態なオブジェも、偏愛の対象の資格をあたえられていました。そうした対象のなかに、不思議な秩序に整えられた小宇宙をさぐりだしたり、麻薬のように強烈な惑乱を誘いだす妖(あや)しい秘宝を感じとったりしていたのでしょう。鳥獣虫魚もむろん同じ枠のなかに入ります。
奇種奇類の文学を中心にして、自然であれ人工であれ異種異類のものを偏愛する道に、なぜあれほど深入りしつづけたのか。性来の嗜好も多少はあるでしょうが、それ以上に大きく作用していたのは、世に罷りとおる常識・良識の歪みにたいする不信であり、根拠薄弱な通俗的な道徳にたいする疑義であり、日常生活の折々に感じる退屈でした。そうした不信、疑義、退屈を祓(はら)いのけるために、現実の裏側に待機している偏愛の世界の魅惑の奥へ分けいるとき、澁澤氏のなかには「魂の高揚」の感覚が脈打っていたはずです。
澁澤氏の歿後三十年、著作はいまも若い読者にひろく受けいれられていると聞きおよびます。それは澁澤氏の文業が活発に生きつづけている証拠ですが、しかし、そこには、未知の魅力が手つかずのまま残されているのではないか。世田谷文学館でそのような観点に立って、澁澤氏の業績に精通された講師をお招きして、連続講座を開催することになりました。多数の方々にご来場を頂いて、澁澤氏みずから「ドラコニア」と名づけたその文学世界の全貌を、いっそう広く深く考える機会を作り出したいと念願しております。
世田谷文学館 館長 菅野昭正

10/21[sat]
仏文学者 本展監修者
明治学院大学名誉教授
巖谷 國士(いわや・くにお)
「澁澤龍彥 文学の旅」
申込〆切日:10月7日(必着)
巖谷國士氏は公私ともに澁澤氏と最も親密な関係をもちつづけた方であるのは、いまさら申すまでもありません。この連続講座の前半においても、澁澤氏の業績全般にわたって、行きとどいた総論を述べていただきました。今回はそれを引きつぐかたちで、とくに小説を中心に澁澤文学の魅力の核心が、独自の視点から解きほぐされるものと期待しています。『犬狼都市』から『高丘親王航海記』まで、『ねむり姫』や『うつろ舟』を挟んで、小説群の特質が新しい光で照らし出されるに違いありません。(菅野)

10/28[sat]
解剖学者
東京大学名誉教授
養老 孟司(ようろう・たけし)
「回想の澁澤龍彥」
申込〆切日:10月14日(必着)
養老孟司氏は唯脳論という独創的な理論によって、人間の行なう活動全般にわたって、その基本的な構造の探索を試みた解剖学者です。そのユニークな理論の解剖台にのせると、澁澤氏の編みだした特異な文学世界は、どういう形態を見せることになるか。これはたいへん誘惑的な問題です。また澁澤氏と交流のあった令兄を介して、鎌倉における澁澤氏の交際圏の事情にも、通じておられたようです。その面での追想にも、傾聴すべきものが多々あるはずです。(菅野)

11/4[sat]
独文学者 エッセイスト
池内 紀(いけうち・おさむ)
「澁澤龍彥の好んだもの嫌ったもの」
申込〆切日:10月21日(必着)
ドイツ語圏を中心にして、ヨーロッパ文学をひろく視野に呼びこんできた池内紀氏の関心の範囲は、澁澤氏のそれと重なりあうところ少なくないと推測されます。澁澤氏が偏愛したヨーロッパの古今の作家作品に、池内氏はどのように接してきたか。さらにそれを媒介として、澁澤氏の遺した文業の特徴を捉えることができるかどうか。観念的な硬直と縁遠く、柔軟さを特徴とする池内氏の文学的な言説は、澁澤作品を読解するのに打ってつけであると思われます。(菅野)
会場 世田谷文学館1階文学サロン
時間 14:00-15:30(開場13:30)
参加費 各回500円
定員 各回150名

②11/12[sun] 記念対談 澁澤龍彥をめぐるトーク
時間 14:00-15:30 (開場13:30)
出演 榎本了壱[アートディレクター]×四谷シモン[人形作家]
近年、澁澤龍彥の長編小説『高丘親王航海記』全文を繪巻、圖繪、書写で表現した榎本氏と、1960年代から澁澤と交流の深かった四谷氏によるトークイベントです。
対象 一般 会場 世田谷文学館1階文学サロン
定員 事前申込150名 参加費 500円
申込締切 10月29日(必着)

関連イベント①②の参加申込方法
いずれも各締切日までに往復ハガキにて、①講座名(連続講座の場合は開催日・講師も)②参加者全員の氏名・住所・電話番号③返信面に氏名・住所を明記(連名の場合は代表者のみ)のうえ、世田谷文学館「澁澤龍彥展関連催事」係までお申し込みください(1開催日につき1枚、2人まで連名申込可)。応募者多数の場合は抽選となります。結果は締切後、返信ハガキでお知らせします。

③11/24[fri] 朗読会 澁澤龍彥―この異なる物語世界を読む
時間 13:30-15:40(開場13:00)
出演 朗読を楽しむ会
司会と解説 福島勝則[多摩美術大学名誉教授]
開場 世田谷文学館1階文学サロン
事前申込不要・入場無料

④12/9[sat]10[sun] 澁澤龍彥セレクト書店
時間 11:00-17:00予定
世田谷・松陰神社にあるセレクトブックショップのノストスブックスが、文学、エッセー、博物誌など澁澤の著作または関連作家の著作、絶版書を集めて特別出店します。
会場 世田谷文学館1階ロビー
事前申込不要・入場無料

⑤10/7[sat]-12/17[sun] サロン展示「榎本了壱コーカイ記」
時間 10:00-18:00 *催事が開催される日はご覧いただけません。ご了承ください。
会場 世田谷文学館1階文学サロン
アートディレクターの榎本了壱氏が2016年に発表した『高丘親王航海記』をもとに制作した繪巻、圖繪、書写の一部を展示します。
事前申込不要・入場無料

Access Information

世田谷文学館 セタガヤブンガクカン

SETAGAYA LITERARY MUSEUM

Address
〒157-0062
世田谷区南烏山1-10-10
Website
https://www.setabun.or.jp/
Updated Date:2017.11.21
Created Date:2017.11.21