ID:44965

清水 六兵衞 展 KIYOMIZU ROKUBEY EXHIBITION

Venue

ギャラリー白

Gallery HAKU

Period

2014年12月15日(月)―12月27日(土)

Exhibition Outline

清水 六兵衞 展 キヨミズ ロクベイ テン

KIYOMIZU ROKUBEY EXHIBITION

「器」の認識へ―八代清水六兵衞展によせて
大長 智広
誰もが空間に取り囲まれ、空間を把握しながら生活を営んでいる。ここでいう空間はその土地の気候風土、生活条件や社会機構、技術的制約などの様々な要件との関係において緻密に構造化されたものである。その意味で、空間は多様であり、空間への働きかけには、働きかける主体そのものの存在が強く反映されることになる。
八代清水六兵衞は、活動の最初期からタタラ板による建築的、構成的作品で評価を得てきた。清水はこうした作品を単なる造形上の構成として捉えるのではなく、作品が生み出す周囲との関係や、機能と構造との関係など多様な問題意識において制作を展開させてきた。ものを「つくる」ためには、原料や材料の選定、技術力、重力と構造、強度との関係などを考慮する必要があるが、陶芸は素材や技術的特性から、他の芸術分野以上にある種の制約を受ける媒体である。清水はこうした要件を陶芸において組織化し、作品においてイメージの構造化を図ってきた作家である。
今回の個展では、器物の内部空間に意識を向けた作品が中心となる。長らく清水は、作品の表皮ともいえる外壁による構造とゆがみの関係を追求してきた。これは初期の直線的なスリットから始まり、近年の有機的な曲線を描く面の切り取りへと展開する。スリットを入れ、面を切り取ることは、構造上の強度を弱めるとともに焼成による変化を導くための仕掛けでもある。そして焼成によって切り込み部分がそれぞれ不規則に歪むことで、秩序と無秩序の関係が作品の構造を導くのである。特に清水は八代襲名前後から意図的に袋物といわれる壺状の器物を制作の核に据え、器物が持つ存在性や空間性を探求してきた。しかしこれまでの「内部空間」とは外壁による器物状の構造が導くものであり、その内部空間自体の存在に清水が意識的に関わったものではなかった。つまりあくまでも清水の意識は外壁の構成とゆがみの関係性にあったということである。それに対して、今回は器物状の形態内部に空間を仕切る壁体が入れられている。直線的で規則性を持ったこの仕切りは、有機的に切り取られた外壁が生み出す空間との関係において、内部空間をより複雑なものへと変換する。さらに内部空間に仕切り板が加えられたことで、焼成時のゆがみと重力の働きを通じて表皮ともいえる外壁と内部の構造を新たな関係の相へと導くのである。
そもそも内部空間に働きかけることが、器物状の形態を「器」であると認識するための社会的な行為となる。つまり「器」であることを保障するのは、その器物状の形態においてではないということである。このように考えると、清水の新作は、器物形態をより明確に「陶芸」の文脈において構造化し、「器」として視覚化するための試みだといえるのである。
(だいちょうともひろ/愛知県陶磁美術館学芸員)

Closing Days
日曜日
Opening Hours
11:00a.m. ~ 7:00p.m.
土曜日 5:00p.m.まで

Access Information

ギャラリー白 ギャラリーハク

Gallery HAKU

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Website
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Updated Date:2014.12.9
Created Date:2014.12.9