ID:9971

―祈りの空間―岩本和子展

会場

茅ヶ崎市美術館

CHIGASAKI CITY MUSEUM OF ART

会期

2005年4月29日(金) ~ 2005年6月7日(火)

展覧会概要

―祈りの空間―岩本和子展 イノリノクウカンイワモトカズコテン

1939年以降茅ヶ崎に住み、現在もこの地で旺盛な制作活動を行なっている岩本和子(いわもと・かずこ1935-)は茅ヶ崎を代表する油彩画家のひとりです。
絵を描くことが好きだった少女は地元画壇の指導者でもあった水彩画家・三橋兄弟冶(みはし・いとじ1911-96)などに指導をうけたのち東京芸術大学(美術学部絵画科油画専攻)を卒業、1970年以降は中央の美術団体に属さず、個展をおもな作品発表の場としています。
公募展と決別した年の暮れ、岩本は祖父が客死したタイを訪れます。祖父ゆかりの土地を巡る旅は岩本にとっては祖父・岩本左武郎(1872-1923)を弔う旅でもありました。同時にこの国で彼女は厳しい生きた仏教の世界を知り、深い感動を覚えます。この旅で得たモチーフなどによる1971年の個展の折、美術評論家の植村鷹千代(1911-98)から朱色の世界への希求を指摘され、インドに行くことをすすめられます。
岩本がインドの地を踏むのは1972年12月。そこは強烈な熱気と臭気に満ち、異質な色彩の氾濫と喧騒にうちひしがれたうえに、タイで目のあたりにした生きた仏教がもはや存在しないことに衝撃をうけます。しかし岩本は聖地で祈る人々の姿に、博物館で出会った遺物に、この国で何世紀ものあいだ連綿と続いている信仰(祈り)の深さを体験し〈インドの空間〉のテーマを獲得します。
〈インドの空間〉というテーマを追求するなか、岩本は具体的なインドの事物を描いてゆくことだけが必ずしも祈りの世界を描くことではないと考えます。形をはなれることによって表現の可能性は無限にひろがる、と。そしてここで創造されたのは現在も続く〈冥漠〉のシリーズでした。さらにモチーフはインドにとどまらず、仏陀の教えがひろめ伝えられたシルクロードにもおよんでいます。
本展では岩本自身が自らの制作の原点であり、この作品に込められた〈祈り〉が全作品に通底しているという「シャム佛」(1957年)にはじまり神奈川県女流美術家展にて神奈川県立近代美術館賞を受賞し、同館の買い上げとなった「彷徨(タイ-1)」(1972年)、インド大使館の所蔵作品である「カイラーサ幻想―踊るシバ神―」(1977年)のほか、昨秋の個展て発表された最近作にいたる55点を展示、ひたすらに祈りの世界を描き続ける画人・岩本和子の軌跡をふりかえります。

主催者
(財)茅ヶ崎市文化振興財団
休催日
毎週月曜日、祝日の翌日
観覧料
一般 300円(200円)
大学生 100円(70円)
※高校生以下、市内在住65歳以上の方・障害者及びその介護者は無料。
※( )内は20名以上の団体料金
展覧会ホームページ
http://www.chigasaki-arts.jp/museum
展覧会問合わせ先
茅ヶ崎市美術館 tel.0467-88-1177

会場情報

茅ヶ崎市美術館 チガサキシビジュツカン

CHIGASAKI CITY MUSEUM OF ART

会場住所
〒253-0053
茅ケ崎市東海岸北1-4-45
ホームページ
https://www.chigasaki-museum.jp/
更新日:2010年9月28日
登録日:1999年3月31日