ID:80368
勅使河原蒼風 Sofu Teshigahara
会場
タカ・イシイギャラリー六本木
Taka Ishii Gallery Roppongi
会期
2025年8月29日(金)-9月27日(土)
展覧会概要
勅使河原蒼風 テシガハラソウフウ
Sofu Teshigahara
タカ・イシイギャラリーは、8月29日(金)から9月27日(土)まで、勅使河原蒼風の個展を開催いたします。いけばな草月流の創設者である勅使河原は、戦後の前衛いけばな運動を主導するだけでなく、国内外の同時代の現代美術とも接続し、造形作家としてそれを牽引した稀有な存在です。タカ・イシイギャラリーでの3回目の個展となる本展では、これまでほとんど紹介されることのなかった、陶製の皿に顔料で書をしたためた作品、約40点を発表いたします。
私はね、書のほうでもそうでしたが、こうしなくちゃいけないよという教え方ばっかりやっている人にはどうも尊敬の念が湧かないんですね。ここまで教えたんだから何か考えてごらんと言われたらしめたものだと思うのだけど。
勅使河原蒼風(『蒼風造形』主婦の友社 1978年 P.238)
床の間にいける伝統的な立華のスケールを大きく逸脱し、もはやインスタレーションと呼べるほどの大規模ないけばなや、六曲半双屏風の大書で知られる勅使河原にとって、本展で展示されるセラミック作品は小さなメディウムであるといえます。作品の表面には「月光」、「白雲」、「幻」、「空」など、墨書作品においても彼が好んで用いる言葉が描かれており、いずれも少字で構成されています。言葉の意味を簡潔にとどめ、独特の書体によってその視覚的な象徴性が強調されています。
勅使河原は10代前半の頃、伯父で書家の玉木愛石から王義之調の書を学びましたが、型に縛られた父のいけばなに疑問をいだき、自ら草月流を創流したように、書においても独学で自身の書体を確立しました。1950年代の抽象表現主義絵画と共振する荒々しい筆跡の大書に比べ、本展で展示される作品群の書風は起筆やハネに柔らかさがあり、穏やかな印象を与えます。近い寸法の作品として色紙に墨で書かれた小作品も存在しますが、本作には多様な色彩が加わることで、まるで小躍りするような喜びの音色が感じられます。親しい親族の名を記した作品が存在することからも、これらの作品は勅使河原にとって極めて私的なメディウムであったと考えられます。
近年、再評価の機運がますます高まる勅使河原蒼風は、2024年に開催された横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」に参加しました。2026年には海外の大規模国際展への出展も予定されています。
勅使河原蒼風は華道家・勅使河原久次の長男として1900年に生まれる。幼いときからいけばなの指導を受け、卓越した才能を発揮し注目を集めるが、形式主義的なそれまでのいけばなに疑問を持ち、父と決裂して1927年東京にて草月流を創流。従来のいけばなを大いに逸脱する、戦後の「前衛いけばな運動」を小原豊雲、中川幸夫らとともに主導する。50年代から70年代にかけて、国内はもとより欧米各地でいけばなの展覧会やデモンストレーションを精力的に行う傍ら、多数の彫刻、絵画、書、コラージュ作品を制作。実験工房、アンフォルメル、具体美術協会などの戦後前衛芸術運動とも交流し、息子宏のディレクションのもと草月アートセンターを発足し「ジョン・ケージとデヴィッド・テュードアのイヴェント」(草月会館ホール、1962年)や「マース・カニングハム・ダンス・カンパニー」来日公演(サンケイホールほか、1964年)を開催するなど、幅広い前衛芸術を日本に紹介する。最晩年まで創作を続け1979年死去。
主な個展として「勅使河原蒼風-戦後日本を駆け抜けた異色の前衛」世田谷美術館(2001年)、「草月とその時代」芦屋市立美術館・千葉市美術館(1998-99年)、「勅使河原蒼風の彫刻」京都国立近代美術館(1967年)、ハウス・マイ(ケルン、1972年)、ガリエラ美術館(パリ、1971年)、ミドルハイム美術館(アントワープ、1971年)、ベルギー国立美術館パレス・デ・ボザール(ブリュッセル、1966年)、リンカーン・センター(ニューヨーク、1964年)、ガスパール画廊(バルセロナ、1959年)、スタドラー画廊(パリ、1959年、1961年)、マーサ・ジャクソン画廊(ニューヨーク、1959年)、バガテル宮殿(パリ、1955年)などが挙げられる。また国際現代芸術展、グラン・パレ(パリ、1963年)、「自然から芸術へ」パラッツォ・グラッシ(ヴェネツィア、1960年)、「新しい絵画世界展-アンフォルメルと具体」髙島屋(大阪、1958年)、「世界・現代芸術展」ブリヂストン美術館(東京、1957年)、「抽象と幻想<非写実絵画をどう理解するか>」国立近代美術館(東京、1953年)などのグループ展に参加。1962年には芸術選奨文部大臣賞を受賞し、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ(1961年)と芸術文化勲章オフィシエ(1960年)を受章している。
- 休催日
- 日・月・祝祭日
- 開催時間
- 12:00 ~ 19:00
- 展覧会ホームページ
- https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/35264/
イベント情報
オープニング・レセプション:8月29日(金)17:00-19:00
会場情報
タカ・イシイギャラリー六本木 タカ・イシイギャラリー ロッポンギ
Taka Ishii Gallery Roppongi
- 会場住所
-
〒106-0032
港区六本木6-5-24 complex665 3F - ホームページ
- https://www.takaishiigallery.com/
登録日:2025年9月2日