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磯崎新:群島としての建築
会場
水戸芸術館現代美術センター
ART TOWER MITO CONTEMPORARY ART GALLERY
会期
2025年11月1日(土)~2026年1月25日(日)
展覧会概要
磯崎新:群島としての建築 イソザキアラタ:グントウトシテノケンチク
2022年末に逝去した建築家・磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展を開催します。当館設計者でもある磯崎は、20世紀を代表する最も創造的で先駆的な建築家として知られ、2019年に建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞しました。建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家や知識人とのコラボレーション、さらにはキュレトリアル・ワークを通じ、60年以上にわたり思想、美術、文化論や批評分野においても卓越した地位を確立しました。
磯崎は自身の著書『建築における「日本的なもの」』において、「グローバリゼーション状態のなかに沈殿物が発生し、これが〈しま〉をつくり、世界は無数の凝固の集合体としての、群島(アーキペラゴ)となるだろう。そのひとつの〈しま〉のつくりだされかたは、(中略)もっと多様に開発されねばなるまい」と記しています。この「群島(アーキペラゴ)」という概念はイタリアの哲学者マッシモ・カッチャーリの著書『L'arcipelago』(1997年)に端を発しています。磯崎はこの概念を構想の手がかりとし、自身の思想や実践における重要な空間概念として積極的に用いるようになりました。
「群島としての建築」と題した本展では、決して単一の領域にとどまらない磯崎の活動を「群島」の様に構成します。「都市」「建築」「建築物」「フラックス・ストラクチャー」「テンタティブ・フォーム」「建築外(美術)」をキーワードに、建築模型、図面、スケッチ、インスタレーション、映像、版画、水彩画などの様々なメディアを通じて、磯崎の軌跡を辿るとともに、自身が設計した水戸芸術館を舞台に、建築の枠を超えた磯崎の活動を俯瞰的に紹介します。
- 主催者
- 公益財団法人水戸市芸術振興財団
- 協賛・協力等
- 協賛:一般財団法人茨城県建築士会、一般社団法人茨城県建築士事務所協会、株式会社横須賀満夫建築設計事務所、株式会社紫建築設計事務所、株式会社アビック、暁飯島工業株式会社、株式会社パル綜合設計、国際警備保障株式会社、株式会社三上建築事務所、株式会社根本建築設計事務所、株式会社清水建設
後援:株式会社アンドエスティHD
協力:磯崎新アトリエ、MISA SHIN GALLERY、大分市美術館、アートプラザ、公益財団法人西日本シティ財団、公益財団法人山口きらめき財団、高知県立美術館 石元泰博フォトセンター、The Estate of Jiro Takamatsu、Yumiko Chiba Associates、TANGE 建築都市設計、日本図書輸送株式会社、株式会社アダストリア・ロジスティクス、伊東豊雄建築設計事務所、金箱構造設計事務所、くまもとアートポリス事務局、慶應義塾大学アート・センター、AAarchitects、MORF 建築設計事務所、株式会社葵建設工業、株式会社加藤木工、サントリーホールディングス株式会社
ゲストキュレーター:ケン・タダシ・オオシマ、五十嵐太郎、松井茂
会場設計:日埜建築設計事務所
企画:井関悠(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員) - 休催日
- 月曜日(ただし11月3日、11月24日、1月12日は開館)、年末年始(2025年12月27日(土)~2026年1月3日(土))、11月4日、11月25日、1月13日(火)
- 開催時間
- 10:00 ~ 18:00
- (入場は17:30まで)
- 観覧料
- 一般 900円、団体(20名以上) 700円
- 高校生以下/70歳以上、障害者手帳などをお持ちの方と付添の方1名は無料
※年齢のわかる身分証明書などが必要です
●一年間有効フリーパス→「年間パス」2,000円
●学生とシニアのための特別割引デー「First Friday」
→学生証をお持ちの方と65歳~69歳の方は、毎月第1金曜日(11月7日、12月5日、1月9日)100円
※学生証、年齢のわかる身分証明書が必要です - 展覧会ホームページ
- https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5359.html
イベント情報
■ゲストキュレーター・レクチャー 01:五十嵐太郎
講師:五十嵐太郎
日時:11月2日(日) 14:00~15:30
会場:会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
五十嵐太郎:1967年パリ生まれ。1992年、東京大学工学系大学院建築学専攻修士課程修了。博士(工学)。東北大学大学院工学研究科教授。建築史・建築批評。第11回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展(2008)日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013 芸術監督を務める。「戦後日本住宅伝説」展(2014-15)、「インポッシブル・アーキテクチャー」展(2019-20)、「Windowology」展(2020-22)「アニメ背景美術に描かれた都市」展 (2023)、「さらに装飾をひもとく~日本橋の建築・再発見」展(2024-25)監修、「3.11以後の建築」展(2014-15)、「Quand La Forme Parle」展(2020-21)ゲストキュレーター、「窓」展(2019-20)学術協力など。
主な著書に『新宗教と巨大建築 増補新版』(ちくま学芸文庫、2022)、『増補版 戦争と建築』(晶文社、2022)、『過防備都市』 (中公新書ラクレ、2004)、『美しい都市・醜い都市』(中公新書ラクレ、2006)『現代建築に関する16章』(講談社現代新書、2006)『「結婚式教会」の誕生』(春秋社、2007)、『映画的建築/建築的映画』(春秋社、2009)、『現代日本建築家列伝』(河出ブックス、2011)、『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房、2011)、『日本建築入門――近代と伝統』(ちくま新書、2016)、『モダニズム崩壊後の建築―1968年以降の転回と思想』(青土社、2018)、『建築の東京』(みすず書房、2020)など、主な共著に『ビルディングタイプの解剖学』(王国社、2002)、『建築と音楽』(NTT出版、2008)、『ぼくらが夢見た未来都市』(PHP新書、2010)、『様式とかたちから建築を考える』(平凡社、2022) など。主な編著に『卒業設計で考えたこと。そしていま』 (彰国社、2005)『見えない震災』 (みすず書房、2006)、『ヤンキー文化論序説』(河出書房新社、2009)、『空想 皇居美術館』(朝日新聞出版、2010)、『レム・コールハースは何を変えたのか』 (鹿島出版会、2014)、『現代建築宣言文集[1960-2020]』(彰国社、2022)など。
■ゲストキュレーター・レクチャー02:ケン・タダシ・オオシマ
講師:ケン・タダシ・オオシマ
日時:12月20日(土) 14:00~15:30
会場:会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
ケン・タダシ・オオシマ:1965年米国コロラド州生まれ。ワシントン大学建築学部教授。建築史、建築理論、デザインを担当。ハーバード大学デザイン大学院、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授。コロンビア大学で建築史と建築理論で博士号取得。建築史学会会員(2016-18 会長を務める)。企画した主な展覧会として「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」
(2025-26、国立新美術館、兵庫県立美術館)、「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展(2023-24、豊田市美術館、パナソニック汐留美術館、青森県立美術館)。著書に 『戦間期の国際建築』(鹿島出版、2025)、『Kiyonori Kikutake Between Land and Sea』(Lars Mueller、2015)、『Global Ends Towards the Beginning』(TOTO出版、2012)、『Arata Isozaki』(Phaidon Press、2009)など。
『Architectural Review』、『Architectural Theory Review』、『Journal of the Society of Architectural Historians』、『建築文化』、『Japan Architect』など国内外の雑誌に寄稿。
■ゲストキュレーター・レクチャー 03:松井茂
講師:松井茂
日時:2026年1月17日(土) 14:00~15:30
会場:会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
松井茂:1975年東京生まれ。詩人、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]研究科長、教授。第2次世界大戦後のアートシーンを、メディアの進展と関係づけて研究している。近年は「「間展」の間、磯崎新の間 ポストモダニズムの美学を再考する」に取り組む。著書に『虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力』(フィルムアート社、2021年)。川崎弘二との共著書に『坂本龍一のメディア・パフォーマンス マス・メディアの中の芸術家像』(同、2023年)。伊村靖子との共編著に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年)。他に『配信芸術論』(アルテス、2023年)、『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』(NHK出版、2016年)など。キュレーションに「磯崎新 12×5=60」(ワタリウム美術館、2014、15年)、「あゝ新宿 スペクタクルとしての都市」(早稲田大学演劇博物館、2016年)、「磯崎新の謎」展(大分市美術館、2019年)など。アーカイブ監修に「坂本龍一|音を視る時を聴く」(東京都現代美術館、2024、25年)など。
■ドキュメンタリー映画『だれも知らない建築家のはなし』上映
日時:12月21日(日) 13:00~14:13(14:15~14:45ポストトーク)
会場:ACM劇場
定員:150名(先着順)
料金:無料(ただし、本展入場券もしくは半券の提示が必要)
1982年、アメリカ、シャーロッツビル。当時、世界を代表する超一流建築家が一同に会し、建築の未来を議論する伝説的な国際会議が開かれた。その名は「P3 会議」。日本からは磯崎新が2人の無名の若手を伴って参加する。後に世界的な建築家へと成長する安藤忠雄と伊東豊雄であった。そして30年後。建築家たちが初めて当時を振り返る取材に応じる。数々の証言が織りなす日本建築史の舞台裏。それは高度に資本主義化した社会で、何をどう生み出すのかという彼らの夢と挫折の歴史。バブル経済がもたらした功罪や、公共建築のあるべき姿も問い直されていく。
監督:石山友美/撮影:佛顔広樹/出演:安藤忠雄、磯崎新、伊東豊雄、レム・コールハース、ピーター・アイゼンマン、チャールズ・ジェンクス、中村敏男、二川由夫ほか/上映時間:73分
ポストトーク:石山友美(映画監督) ×伊東豊雄(建築家)
石山友美:映画監督・東京藝術大学先端芸術表現科准教授。1979年生まれ。日本女子大学家政学部住居学科卒業。磯崎新アトリエ勤務を経て、フルブライト奨学生として渡米。 カリフォルニア大学バークレイ校大学院、ニューヨーク市立大学大学院で建築、芸術論、社会理論を学ぶ。ニューヨーク市立大学大学院都市デザイン学研究科修士課程修了。在米中に映画制作に興味を持つようになる。
監督作に《少女と夏の終わり》(2012)、《だれも知らない建築のはなし》(2015)。建築作品の記録映像をライフワークとして続けている。
伊東豊雄:建築家。1941年生まれ。1965年東京大学工学部建築学科卒業。主な作品に「せんだいメディアテーク」、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、「台中国家歌劇院」(台湾)、「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」、「2025年日本国際博覧会 EXPO ホー
ル」など。日本建築学会賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、プリツカー建築賞など受賞多数。2011年に私塾「伊東建築塾」を設立。これからのまちや建築を考える建築教育の場として様々な活動を行っている。また、自身のミュージアムが建つ愛媛県今治市大三島においては、塾生有志や地域の人々とともに継続的なまちづくりの活動に取り組んでいる。当館に隣接する「水戸市民会館」(2023年7月2日開館)を設計(共同設計者:横須賀満夫建築設計事務所)、県内の笠間市には伊東氏が設計した「笠間の家」(1981年)がある。
■だれも知らない構造のはなし
当館の構造設計を担当した構造家の金箱温春による、当館タワーの構造について解説します。
講師:金箱温春
日時:2026年1月11日(日) 14:00~15:30
会場:会議場
定員:80名(先着順)
参加費:無料
金箱温:構造家。金箱構造設計事務所代表取締役。1953年長野県生まれ、1971年水戸第一高等学校卒業、1977年東京工業大学大学院修士課程修了、1977-1992年横山建築構造設計事務所勤務を経て、1992年金箱構造設計事務所設立。2008年博士(工学)取得。2008-2025年東京工業大学特定教授。2011-2015年(一社)日本建築構造技術者協会会長。受賞に1998年JSCA賞、2005年松井源吾賞、2011年日本建築家協会賞、2016年日本建築学会賞(業績)
、2020年土木学会田中賞他。著書に『建築家の講義 サンチャゴ・カラトラバ(翻訳、丸善株式会社、2008)、『構造計画の原理と実践』(建築技術、2010)、『力学・素材・構造デザイン』(建築技術、2012)、『ディテールから考える構造デザイン』(学芸出版社、2021)他。幅広い世代の多くの建築家と、住宅から公共建築ま新築に限らず改修も含めて協働。構造設計を担当した作品に京都駅ビル、青森県立美術館、表参道ヒルズ、広島市民球場 MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島、石川県立図書館、テツ・アートプラザ他。横山建築構造設計事務所在籍時に水戸芸術館の構造設計を担当。
■磯崎新研究会:群島のアルケオロジー
磯崎自身が用いた言葉、「建築外的思考」を結節点に拡がる芸術の諸問題を、美学、芸術学、メディア論、アーカイブ論の実践者と共に議論し、その射程を拡張する研究会。本展を媒介に、戦後日本美術の持ち得た想像力を、未来へと継承します。
登壇者:石本華江(慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ学芸員)、伊村靖子(国立新美術館主任研究員)、木原天彦(渋谷区立松濤美術館学芸員)、鯉沼晴悠(金沢工業大学五十嵐威暢アーカイブ学芸スタッフ)、服部真吏(編集者)
モデレーター:松井茂(本展ゲストキュレーター)
日時:2026年1月18日(日) 11:00~17:00
会場:現代美術ギャラリーワークショップ室
参加費:無料(本展入場料別途)
■水戸芸術館建学ツアー
芸術観をATMフェイスがご案内するツアーを開催。普段では見ることのできない施設も特別に公開します
(公演・リハーサル・天候等の都合でご覧いただけない施設があります)。
平日:14:00~/16:00~
土日祝日:11:00~/14:00~/16:00~
所要時間:45分程度
料金:大人600円(本展入場料別途|サザコーヒー水戸芸術館店での1ドリンク付。当日限り有効)
こども(小中学生)500円(サザコーヒー水戸芸術館店での1ドリンク付。当日限り有効)
申込方法:当館HP(https://www.arttowermito.jp/service/tour.html)
■水戸芸術館ガイドブック
本展ゲストキュレーターで建築史家である五十嵐太郎氏監修・執筆のもと、水戸芸術館の建築的特徴やデザインについてイラストつきでわかりやすく解説する『水戸芸術館ガイドブック』を刊行します。こどもから大人まで水戸芸術館の内側から外側まで楽しめる1冊です。
監修・執筆:五十嵐太郎
デザイン:イスナデザイン
【賞会関連教育プログラム】
■赤ちゃんと一緒に美術散歩
小さなお子さんと一緒に、安心して、気兼ねなく美術館を楽しんでいただくためのツアーです。
日時:11月21日(金)、22日(土) 各日10:30~12:00
会場:現代美術ギャラリー
定員:5組程度 ※要申込/先着順
料金:保護者のみ1,500円、入場料無料の保護者1,000円
※保護者2人目からは通常入場料
申込期間:10月21日(火)~
協賛:ピジョンマニュファクチャリング株式会社
■ウィークエンド・ギャラリートーク
市民ボランティア CAC ギャラリートーカーとともに展覧会を鑑賞します。
日時:11月15日(土)より毎週土曜日 各日 14:30~40分程度
※ただし、他のプログラムとの関連で中止となる場合があります。
会場:現代美術ギャラリー
料金:無料 ※ただし、展覧会入場券が必要です。
■プレスクールプログラム
2007~2018年に開催していた幼稚園・保育園の年長向けの鑑賞ツアー+工作ワークショップを再開します。
申込は園単位となります。
日程:12月3日(水)、4日(木)、9日(火)、10日(水)、11日(木)
会場:現代美術ギャラリー及びワークショップ室
対象:幼稚園・保育園・こども園・託児施設等の年長クラス
料金:20名までは2,000円、それ以上は1名につき200円
募集数:10~15園程度
【同時開催】
■日比野克彦「明後日朝顔プロジェクト2025水戸」収穫祭
2005年の個展「HIBINO EXPO 2005 日比野克彦の一人万博」をきっかけに全国に拡がった 「明後日朝顔プロジェク」の水戸版を今年も開催しています。秋の種の収穫、春の苗植え、夏の開花という朝顔の育成を通して、人と人が出会い、地域と地域がゆるやかにつながっていくプロジェクトです。来年に向け、水戸での記憶のつまった種を収穫します。
日時:11月8日(土) 10:00~17:00(小雨決行。荒天時翌日順延)
会場:広場回廊2階
料金:無料
主催:明後日朝顔プロジェクト水戸実行委員会、公益財団法人水戸市芸術振興財団、株式会社水戸京成百貨店、水戸市民会館
協力:水戸21の会、茨城県立大子清流高等学校、サントリーホールディングス株式会社
■造形実験室
月替わりでさまざまな素材・技法を使って造形を楽しむプログラム。
年齢を問わず、どなたでも参加できます。
日時:11月14日(金)、15日(土)、12月5日(金)、6日(土)、2026年1月9日(金)、10日(土)、2月13日(金)、14日(土)
各日10:30~12:00/13:30~15:30
会場:現代美術ギャラリーワークショップ室(11月、12月、1月)、会議場(2月)
料金:無料 ※予約不要
会場情報
水戸芸術館現代美術センター ミトゲイジュツカンゲンダイビジュツセンター
ART TOWER MITO CONTEMPORARY ART GALLERY
- 会場住所
-
〒310-0063
水戸市五軒町1-6-8 - ホームページ
- https://www.arttowermito.or.jp/
登録日:2024年12月24日