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小田原のどか 個展「近代を彫刻/超克する―雪国青森編」 ODAWARA Nodoka Solo Exhibition “Overcoming/Sculpting Modernity : Aomori Snow Country Edition”

会場

青森公立大学 国際芸術センター青森 展示棟ギャラリーA

Aomori Contemporary Art Centre

会期

2021年12月25日(土)―2022年2月13日(日)

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、下記の通り臨時休館とさせていただきますので、お知らせいたします。急なご案内で申し訳ありませんが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
臨時休館期間:2022年1月24日(月)~2月28日(月)
休館に伴い、2月13日(日)まで開催を予定しておりました以下の展覧会については、1月23日(日)で終了いたします。

展覧会概要

小田原のどか 個展「近代を彫刻/超克する―雪国青森編」 オダワラノドカ コテン「キンダイヲチョウコク/チョウコクスル―ユキグニアオモリヘン」

ODAWARA Nodoka Solo Exhibition “Overcoming/Sculpting Modernity : Aomori Snow Country Edition”

表現のコモンズ vol.5 表層/地層としての野外彫刻 プロジェクト2021「ここにたつ」

国際芸術センター青森 [ACAC] は、2021年12月に開館20周年を迎えました。ACACでは開館以来、数々の野外彫刻が制作・設置され、館の個性の一部となっています。また、青森市街地にも平和や慰霊のモニュメントをはじめ、公共空間の一部となり、ここにあった物事を記念する多数の碑や彫刻が存在します。観光地になっているものや、忘れられたように佇むものまで様々です。それらはすでに街の風景の一部となっているからか、誰がどのような思いで作り、そこに設置したのか意識される機会は多くありません。そして、彫刻が置かれたあとの社会の変化について考えることや、彫刻をめぐる議論が十分にあるとは言えません。
このような状況を背景に、ACACでは2021年度から複数年度にわたって「我々に与えられている」野外彫刻を起点に、多様な角度からそれらについて考え、現在の視点からアプローチしていくプロジェクトを行います。昨年(2020年度)は準備講座(表現のコモンズ vol.1)として、青森市内に点在する歴史にアプローチしている郷土史家、ACAC内の野外彫刻の設置にも立ち会ってきたアーティスト、作品制作や執筆・出版活動を通して彫刻に対する議論を展開する彫刻家であり批評家の3人によるトークを行いました。
2021年度は野外彫刻を歴史や社会から考えるために、小田原のどかが青森県内の野外彫刻を実際にリサーチしました。今回はその成果を個展として発表します。小田原は彫刻を作られた当時や、それを見る現在の社会を映し出すメディアとして捉え、作品とテキストによって批評的に扱い、日本の近現代史に潜む課題を浮き彫りにしてきました。青森では雪深い冬季に屋外の彫刻が見られなくなってしまうことにも着目しながら、大熊氏廣《雪中行軍記念像(歩兵第5連隊遭難記念碑)》や高村光太郎《乙女の像》、高村のアシスタントを務めた野辺地出身の小坂圭二をはじめとする青森ゆかりの彫刻家に着目しています。小田原によって、雄大な山の地形に抱かれた複数の彫刻・碑といった「ここにたつ」ものたちが紐解かれ重ね合わせられることで、私たちの生きるいまが過去から照らし出されることでしょう。


青森県のほぼ中央に位置する八甲田山。八甲田山とは山の名ではなく、火山群の総称です。青森の人々にとって特別な山・岩木山とは異なり、山岳信仰の対象ではありません。この連峰は、とある悲劇の舞台として名を馳せています。それが、1902年1月に起きた八甲田雪中行軍遭難事件です。
ここに本邦の彫刻史にとって重要な彫刻があります。そのひとつが、八甲田山の北側にある《雪中行軍記念像(歩兵第五連隊遭難記念碑)》です。八甲田雪中行軍遭難事件を記念するため、1906年に除幕されたこの彫刻は、近代日本最初の彫刻家のひとり、大熊氏広によって制作されました。いっぽう南側の十和田湖の湖畔には、《乙女の像》が立っています。詩人としても有名な、高村光太郎の生涯最後の彫刻です。
大熊氏広は工部美術学校で、高村光太郎は東京美術学校で、それぞれ彫刻を学びます。ふたりの彫刻家は、欧化と国粋のはざまで揺れ続けた、この国の近代彫刻史のおもてと裏。八甲田山の両側に立つこれらの彫刻の足元には、創造的断層が走っています。それは、ありえたはずの彫刻史の分岐点です。
その断層の真上、八甲田山の裾野に、今回の展覧会場はあります。ここにおいて、八甲田の山並みは彫刻史の起伏と重なり、彫刻は歴史の定点観測装置に転じます。
《乙女の像》のため、高村光太郎は「十和田湖畔の裸像に与ふ」という詩を残しています。

[…]銅とスズとの合金で出来た
女の裸像が二人
影と形のように立っている
いさぎよい非情の金属が青くさびて
地上に割れてくずれるまで
この原始林の圧力に堪えて
立つなら幾千年でも黙って立ってろ。

「女の裸像」は、私の身体の分身のようなもの。十和田湖と八甲田山、そして現代社会の端々にこだまする「黙って立ってろ」という言葉に、本展をもって応答したいと思います。(小田原のどか)

主催者
青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]
協賛・協力等
協力|AIRS(アーティスト・イン・レジデンス・サポーターズ)、青森公立大学芸術サークル ほか
助成|公益財団法人 青森学術文化振興財団
後援|青森テレビ、RAB青森放送、青森朝日放送、青森ケーブルテレビ、エフエム青森、青森文化放送、東奥日報社、陸奥新報社
休催日
年末年始(12月29日(水)-1月3日(月))および大学入学試験に関わる日程(1月14日(金)-16日(日)、1月28日(金)-1月30日(日))
開催時間
10:00 ~ 17:00
観覧料
入場無料
展覧会ホームページ
https://acac-aomori.jp/program/odawara/

イベント情報

近代を彫刻/超克する―雪国青森編
国際芸術センター青森(ACAC)は、2021年12月に開館20周年を迎えます。ACACでは開館以来、数々の野外彫刻が制作・設置され、館の個性の一部となってきました。また、青森市街地にも平和や慰霊のモニュメントはじめ、公共空間の一部となり様々な物事を記念する多数の碑や彫刻が存在します。
ACACでは2021年度に、色々な角度から野外彫刻を考えるプロジェクトを実施予定です。今回はその準備講座として、青森市内に点在する歴史にアプローチしている郷土史家、野外彫刻の設置にも立ち会ってきたアーティスト、作品制作や執筆・出版活動を通して彫刻の議論を展開している彫刻家・研究者の3人にお話しを伺い、街の風景の一部となっている所与の彫刻について考えをめぐらせる機会を持ちたいと思います。
日時|2021年3月20日(土・祝)14:30-16:00
会場|ZOOMを用いたWebセミナー形式での開催 ※当館YouTubeチャンネルでの配信あり
対象|どなたでも
参加料|無料
申込|必要

小田原のどか オープニング・アーティストトーク
ODAWARA Nodoka Opening Artist Talk
アーティストによる、青森での彫刻のリサーチについての報告と展覧会の解説を行います。
日時:2021年12月25日(土)14:00-15:00 会場参加のみ要予約(申込み締切:12月23日(木))、参加無料
会場:展示棟ラウンジ(オンライン配信あり:https://youtu.be/RJZXSID8Ux4)
予約フォーム:https://forms.gle/nHXE8N3tZgkkNWqe9

会場情報

青森公立大学 国際芸術センター青森 コクサイゲイジュツセンターアオモリ

Aomori Contemporary Art Centre

会場住所
〒030-0134
青森市合子沢字山崎152-6
ホームページ
https://www.acac-aomori.jp/
更新日:2022年2月9日
登録日:2022年2月9日