ID:67688
キュレーターズ・アイ
針生卓治 展 HARIU Takuji
会場
山梨県立美術館 ギャラリー・エコー(美術館エントランス)
Yamanashi Prefectural Museum of Art
会期
2021年4.27(火)~6.27(日)
※会期が変更になる可能性があります。ご来館前に当館ホームページをご確認ください。
展覧会概要
キュレーターズ・アイ 針生卓治 展 ハリウタクジ テン
HARIU Takuji
「境界」をみつめて
「キュレーターズ・アイ」では、主に山梨県にゆかりのある若手作家を取り上げ、その作品を紹介している。
日本画を学んだ画家・針生卓治は、現在はアクリル絵具を用いて、水平線を軸に風景を描いている。その風景は、明確にどこかの景色として描かれているものではない。むしろ茫漠とした空間が広がり、上部と下部が塗り分けられていることで、かろうじて空と地を想像させる。それはまるで、空と地とが混じり合った状態から、あわい光を映じて両者がそれぞれに立ち現れて来る瞬間のようでもある。その時、空と地との間には、混じり合ったままの境界が細かな筆を重ねた水平の線として存在するように見える。
針生は以前、線や矩形による風景を描いていた。垂直線や水平線、四角が用いられ、それらは針生にとって、線や四角いものに囲まれた人間の「生活」を象徴していたと言う。「生活」の内と外との境である窓というモチーフが組み合わされることもった。加えて、まさに長方形の集積である、本の背表紙を多数描いた作品もある。モチーフは、針生の感じる「生活」というテーマを構成するものとして画面に組み込まれてきた。
近年はその「生活」というテーマから、内と外を区切る「境界」という概念を描くことに移ってきた。「生活」の中に見出される「境界」。それは家の内と外という物理的な「境」や、自己と他者という人と人との関係にも見られるものである。人間が生きていく上で、自分と他人の距離をはかりながら関係を築いていくことは必然と言えよう。その距離の感覚に、多くの人は注意を払い、時に悩み不安、葛藤を覚える。かつての、本を描いた作品に、「mind」(心)というタイトルが付けられ、さまざまな色が散りばめられていたことは、日々揺れ動く人の感情の表現にも思われる。これを鑑みると、近年はその指向するところが「境」へと集中し、よりシンプルな風景として展開されるようになったのかもしれない。その画面は作者自身の感情を含み込むとともに、シンプルかつ明確な対象を持たないがゆえに、結果として視る者の多様な感情を受け入れるものとして開かれている。そしてそのような作品を提示することが、針生の「境界」に対するアプローチなのだと言えるだろう。
- 主催者
- 山梨県立美術館
- 休催日
- 5月6日(木)、10日(月)、17日(月)、24日(月)、31日(月)
6月7日(月)、14日(月) - 開催時間
- 午前9時 ~ 午後5時
- (入館は午後4時30分まで)
- 観覧料
- 観覧無料
- 展覧会ホームページ
- https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2021/230.html
会場情報
山梨県立美術館 ヤマナシケンリツビジュツカン
Yamanashi Prefectural Museum of Art
- 会場住所
-
〒400-0065
甲府市貢川1-4-27 - ホームページ
- https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/
登録日:2021年6月2日