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没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展
会場
安曇野ちひろ美術館
CHIHIRO ART MUSEUM AZUMINO
会期
2021年9月11日(土)~11月30日(火)
展覧会概要
没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展 ボツゴ1ネン タバタセイイチ『オシイレノボウケン』テン
『おしいれのぼうけん』(1974年)は234万部を超すミリオンセラーとして、今も絶大な人気を誇ります。子どもの心に届く絵本をつくりたいという田畑の原点には、自らの戦争体験がありました。
軍国少年として 自伝的絵本『さくら』
「日・中・韓 平和絵本」シリーズの1 冊として制作された『さくら』は、田畑の自伝的絵本です。日中戦争が始まる1931年に生まれた「ぼく」は、教科書も新聞も聖戦一色に染まっていくなか、軍国少年として育ちました。終戦の年に空襲で家の工場を焼かれ、過労で父が病死します。敗戦後、母を支え貧しさに苦しむなかで、戦争の意味を疑うようになります。絵本の下絵のダミーには、戦後、聖戦から一転して平和や民主主義を語り始めた大人たちへの不信感が赤裸々に記されています。
人形劇から子どもの本の仕事へ
1950年の高校卒業の春に人形劇団プークの公演を観た田畑は、舞台でいきいきと演じられる人形劇に心を奪われます。京都大学に入学しますが、朝鮮戦争で学内が反戦運動で騒然とするなか、学ぼうとしている原子物理学が人の幸福に役立つのか疑問を抱きます。原子爆弾をつくり戦争を続ける大人に平和は期待できない。未来を生きる子どもに希望を託し、「子どもたちを人形劇で感動させたい。そして生きることの楽しさ、すばらしさを伝えよう。そうしたらきっと戦争なんか大嫌いな子どもたちが育つだろう」と大学を中退して人形劇の道に入ります。所属した人形座では人形の頭などを制作し、木彫の研鑽が後に子どもの躯体の描写にも生かされています。63年の人形座解散後、交流のあった作家の古田足日の誘いで、66年に『くいしんぼうのロボット』で初めて子どもの本の仕事を手がけます。以降、古田とは紙芝居や読み物などでコンビを組み、『おしいれのぼうけん』では、作家と画家と編集者が三位一体となった、新たな絵本づくりに挑戦していくことになります。※1
共作絵本の広がり
『おしいれのぼうけん』で取り組んだ作家との共作の姿勢は、神沢利子の『ゆうちゃんのゆうは?』にも引き継がれます。弟の名前の「ゆう」は、「ゆうゆう」のゆう。広い海のようでも、大きな山のようでもあるという、神沢の詩のようなことばを受けて、田畑は信州の山々を登りスケッチを重ねています。絵本にあわせて画風や画材を吟味した田畑は、透明水彩の習熟にもこだわり4 年の歳月をかけて絵本を仕上げました。本展では『おしいれのぼうけん』『ダンプえんちょうやっつけた』『ゆうちゃのゆうは?』『さくら』などの絵本原画や習作、人形座時代の人形なども展示し、子どものために作品をつくり続けた田畑の思いを浮き彫りにします。
※1 東京館で2021年3月16日(火)~6月13日(日)開催した展覧会
「没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展」のご紹介も、ぜひご覧ください
- 主催者
- ちひろ美術館
- 協賛・協力等
- 協賛
株式会社ジェクエツ
協力
童心社、偕成社、白梅学園大学・白梅学園短期大学 子ども学研究所 古田足日研究プロジェクトチーム、人形劇の図書館、人形工房 - 展覧会ホームページ
- https://chihiro.jp/azumino/exhibitions/00131/
イベント情報
2021年11月3日(水・祝)
学芸員によるスライドトーク「田畑精一の絵本づくり」
【日時】 2021年11月3日(水) 14:00-15:00
【会場】 安曇野ちひろ美術館
【定員】 40名
【参加費】 無料(入館料別)
【申し込み】 要事前予約(美術館公式サイト、TEL.0261-62-0772にて)
「没後1年 田畑精一『おしいれのぼうけん』展」関連イベント
子どもの心に届く作品をつくりたいと願った田畑精一の絵本づくりについて、展示担当学芸員がスライドを使って分かりやすく解説します。
※本イベントは新型コロナウイルスの感染拡大状況により変更になる可能性がございます。
※最新情報は、こちらのページもしくはお電話(TEL.:0261-62-0772)にてお問い合わせください。
会場情報
安曇野ちひろ美術館 アズミノチヒロビジュツカン
CHIHIRO ART MUSEUM AZUMINO
- 会場住所
-
〒399-8501
北安曇郡松川村西原3358-24 - ホームページ
- https://www.chihiro.jp/
- 問い合わせ先
- テレフォンガイド:0261-62-0777
登録日:2021年2月3日