ID:65140

小林 良一《指触》 Ryoichi Kobayashi "Finger Touch"

会場

ヒノギャラリー

hino gallery

会期

2020年7月20日 ー 2020年8月8日

展覧会概要

小林 良一《指触》 コバヤシ リョウイチ《シショク》

Ryoichi Kobayashi "Finger Touch"

「指触」
一日の制作は画面に触れることから始まる。
絵具がのり始めた制作過程だけでなく、キャンバスを張った直後の状態から、その画布の弾力や織目などを指先や手のひらで確認する。触りながら、絵具をのせるための助走を始める。後で振り返れば、希望の時間であり、気持ちはフラットである。

「指触乾燥」―――油絵を始めた頃、指先に絵具が付かなければ、その内部まで乾いていなくても絵具を重ねていくことができるという意味で、この言葉を聞いた。塗料全般の世界で使われている言葉だと思うが、この少し化学的なニュアンスを感じさせる響が良かった。何日も経過して乾燥を確かめるまでもない画面でも、先ずは触ることから始まる。
絵具をのせて行く前の儀式のように画面全体を触る。気持ちをフラットな状態にして、また一日の制作の助走つけていくのは、どの段階でも同じなのかもしれない。

この触るということから自己の制作を見直してみた。触るという行為は、その対象がそれほど大きくないことを連想する。しかし大きな作品の場合も同じように指先や手のひらで触っている。触ることに変わりはないか、と考えていて気がついた。大きな画面ではやはり英雄的な行為へと向かって行くのだ。消すという否定的な行為であっても大きなストロークを伴い、描いては消す繰り返しのうちに、啓示を待つといった制作の姿勢。絵画と対峙している身振り。今は少し恥ずかしい気がする。

今回は、触ることの確かさと身近さに重心を置いた制作を試みた。
小林良一

ヒノギャラリーでは2020年7月20日(月)より「小林良一 《指触》」を開催いたします
画面に触れることは絵画制作においては自然の行為ですが、今回小林はそこに着目し、制作を行いました。これまでの小林作品にも見られる大胆な筆触や、描き足すことによる「消す」行為は、結局は触れることによるもので、絵画制作におけるこの当然の行い(儀式)の中に、作家は絵画のさらなる可能性を見出そうとしているのかもしれません。

奇しくも、触れることがタブーとされつつある今の世の中において、これらの作品はまた、原初的な人間の行為や感覚の重要性を示唆するものであるようにも思います。

ヒノギャラリーでは3年ぶりとなる個展。204×270cmの大作をはじめ、新作を展観いたします。是非ご高覧くださいませ。

*新型コロナ感染拡大防止のため、ご来廊時はマスク着用の上お越しくださいますようご協力をお願いいたします。尚、今後の状況によっては開催期間や開廊時間が変更になる場合がございますので、あらかじめご了承くださいませ。

展覧会ホームページ
http://www.hinogallery.com/2020/2370/

会場情報

ヒノギャラリー ヒノギャラリー

hino gallery

会場住所
〒104-0042
中央区入船2-4-3マスダビル1F
ホームページ
http://www.hinogallery.com/
更新日:2020年8月26日
登録日:2020年8月26日