ID:26087

難波田龍起・難波田史男

会場

東京オペラシティ アートギャラリー

TOKYO OPERA CITY ART GALLERY

会期

2009年1月17日(土) ~ 2009年3月22日(日)

展覧会概要

難波田龍起・難波田史男 ナンバタタツオキ・ナンバタフミオ

難波田龍起が24歳の時の風景画《木立(中野風景)》(1929年)は、具象と抽象の間に浮遊するような曖昧さを湛えています。この作品の中で、画家のまなざしは正面の屋根に注がれながら、どこか彼方へと散っているのです。龍起は自然の一部としてある木々と、自分の生命も含めた風景をとりまく世界全体を、写実を超えた次元で捉えようとしているようです。龍起の内面に映し出された風景は、その後独自の抽象へと変容を遂げてゆくことになるのです。

史男を内面から支えるただ一つの現実は、家族との日常であったのかもしれません。いつもと変わりなく制作が続いていた1974年1月、瀬戸内海を航行するフェリーからの転落事故により突然その道は絶たれます。

龍起にとって、史男を亡くし、翌年に長男の紀夫をも亡くすという悲劇は、壮絶を極める現実となりました。描き続けるほかに龍起がそれを受け容れるすべはなかったに違いありません。息子の存在を近くに感じながら筆を動かすことで生まれたであろう《幻》や《群像》、そして《合掌》からは、龍起の鎮魂の祈りが伝わってくるようです。 1994年、世田谷美術館における個展で龍起は《生の記録》のシリーズ3点を発表しました。《生の記録3》の画面は、深く塗り込めた青の絵具が物質としての存在感をもって、巨大なうねりを生み出しています。海原にたゆたい、天空へと昇って行くものは、龍起が内面のイメージを探り続けて到達した「生」の形象にほかなりません。息子の死を乗り越えてその先を生き抜いた龍起は、おのれの内面が求めてきた「抽象」をこの大作の中に結晶させたのです。

主催者
財団法人東京オペラシティ文化財団
休催日
月曜日/2月8日(日・全館休館日)
観覧料
一般1000(800)円/大・高生800(600)円/中・小生600(400)円
*( )内は15名以上の団体料金
*その他割引(半額):閉館1時間前以降の入場、65歳以上、Arts友の会会員
*土・日および祝日は中学・小学生無料。
展覧会ホームページ
http://www.operacity.jp/ag/
展覧会問合わせ先
03-5353-0756

会場情報

東京オペラシティ アートギャラリー トウキョウオペラシティ アートギャラリー

TOKYO OPERA CITY ART GALLERY

会場住所
〒163-1403
新宿区西新宿3-20-2
ホームページ
https://www.operacity.jp/ag/
更新日:2010年5月11日
登録日:2008年10月14日