岡本太郎との交流から、北に留まり縄文の血とは何か?の問いかけに、その出口を求め、東北の風土に根ざした制作を続けてきた村上善男。岩手、宮城そして青森と、それぞれの「地」を自らの「血」に変え多彩な活動を展開してきております。
岩手県盛岡市に生まれた村上は、岡本太郎の『今日の芸術』によって目覚め、二科展会場での衝撃的な出会いに始まった岡本との交流は、民族への関心を呼びおこし、画家と風土というテーマを村上に投げかけたといえます。社会的テーマを皮切りに、彼の制作は、その後、「北」への関心へと移り、近年は古文書や花火などを画面に貼りつけ、青森弘前をステージに活動を展開してきております。
一方、多彩な顔をもつアーティスト村上は、郷土の大先輩萬鉄五郎作品に、強烈な民俗をかぎとり、松本竣介に詩情を感受し、その二極の視点から地域を見つめてきています。今回の展覧会は、今なお精力的な制作活動を続けている村上善男のこれまでの仕事を回顧すると同時に、現況を探りながら、さらに美術家と磁場について考えたいと思います。