当県の近代日本画家の系譜を見ていくと、京都にゆかりのある作家が、かなり見うけられます。たとえば、当県出身で、京都の美術学校に学び、京都で活躍したり、郷里に戻って制作を行ってきた作家たち、あるいは、金沢美術工芸大学に学んだ後、京都で作家活動を続けていった作家などがあげられます。
そこには、古来からわが国の文化の一大拠点として伝統を形成してきた京都という都市と、地方において京の文化を吸収しながら、雅な伝統文化を築いてきた加賀の地との、強い結びつきが反映されているようです。
こうした一連の作家の作品には、特別共通する特徴は見られませんが、大きく見れば、京都の円山四条派の作風を基点として、それぞれが個性豊かな色彩感覚と造形性とを駆使し、存在感のある画面を形成しているのがわかるのではないでしょうか。
本展では、館蔵品を中心に、石川に深いゆかりをもつ京都の日本画家たちの絵画表現を、12作家・17点の作品で、紹介しようとするものです。