太陽が低くなる冬、南側にガラス面の広がる当館の展示室1には、午前中の光がふんだんに差し込み、時間の経過とともにその表情を大きく変えていきます。今冬、この展示室を舞台に、「光のかけら」をあつめる二作家がコラボレーションを試みます。
鵜飼美紀は、「手のひらを合わせた位の」ガラスの器に水を入れ、床に散りばめるインスタレーションを行っています。手ですくった水がそのまま床に置かれていったかのように、作家の動きの痕跡が残されます。
ガラス作家の辻和美は、自らが造形した涙のかたちを天井から吊り下げ、そこに生まれた空間を《居心地の良い部屋》と名付けています。ガラスのしずくは、いろいろな高さで静止し、周りの景色を映し出します。
ガラスという素材を使う二人の作品は、共に自然光を反射しながら、「水」と「涙のしずく」の要素をも共鳴させるでしょう。光と水の粒子がさざめきあう小宇宙を訪れてみませんか。