1912年ミュンヘンで、ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)、フランス・マルク(1880-1916)の編集によって創刊された芸術雑誌『青騎士(Der Blaue Reiter)』は、当時ヨーロッパ各地で起きていた芸術運動を大いに反映しています。
ドイツ表現主義の流れを汲むその構想は「総合」の意志に支えられ、プリミティブな美術・工芸と現代美術、美術と音楽、さらに芸術と社会の一体化、すなわち後のバウハウス理念の礎を示唆しています。
彼らは芸術の創造における「内的必然性」を掲げ、近代における表現の精神的な意味を追求しました。
そのため「青騎士」の活動は雑誌刊行にとどまらず、内外の芸術家を招いて展覧会を開催するなど、当時のヨーロッパ美術界に存在を強く訴えかけました。
1914年、第一次世界大戦勃発によって解散を余儀なくされますが、その芸術理念は後年の現代美術発展に重要な影響を及ぼしています。
「日本におけるドイツ年」を機に行われるこの企画展の試みは、20世紀初頭のドイツで起こった芸術運動である「青騎士」の作家たちの主に版画作品を通し、その小世界を展観するものです。