ニューヨークにあるホイットニー美術館は、1930年に創設以来、若い芸術家たちの作品収集と現代美術展 とを精力的に行い、アメリカ合衆国における現代美術の発信基地として知られています。この展覧会は、ホイットニー美術館の全面的な協力により、20世紀のアメリカ美術の流れを概観しようとするものです。「移民」、「都市」、 「消費」、「記憶」をテーマに、ホッパー、リキテンスタイン、ウォーホル、バスキアをはじめ、各都市を代表する芸術家による絵画、彫刻など、46点を展示します。
超大国であるアメリカは、多民族、多宗教、多文化に起因する問題を抱え、経済格差やテロ、犯罪といった、常に混沌とした状況にあります。その中でアメリカ人たちは、諸問題にどう立ち向かっているのかを、美術作品の中から読み取ってみましょう。その問いの中にこそ、現代美術をリードするアメリカ美術の本質が隠されているのではないでしょうか。アメリカの現代美術が示す社会性は、現代の日本に生きる私たちにとって大きな問題提起となり、美術というものの可能性についてより深く考える機会となるでしょう。