春の訪れとともに、本年もまた雛の節供がめぐってきます。京都国立博物館では、雛まつりを祝って、雛段かざりを中心に恒例の人形の特集陳列を開催します。
三月三日の雛まつりの起源は、上巳(じょうし)の節供という、三月のはじめに行われた禊(みそぎ)の行事と言われています。人間の穢(けが)れを引き受け川に流されていた簡素な人形は、江戸時代を迎えると次第に凝ったつくりとなり、座敷に飾って楽しむ人形へと変化していきました。
展示室には、寛永雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛など、各種の雛人形が揃います。面差し、装束など、細部に注目して雛人形の変遷を眺めるのも一興でしょう。雛段飾りも、関西風の御殿飾り、関東風の段飾りをあわせて展示します。特に本年は、新たにご寄贈いただいた、明治九年製作の御殿飾りのお披露目をします。立派な御殿におくどさんがついた、正統派の京都の雛飾りをぜひご覧ください。
また今年から「京の雛めぐり」と題し、京都の地で人形を保存・公開している、京都文化博物館、博物館さがの人形の家、宝鏡寺門跡とともに、ポスター・ちらしを製作し、協力して展示紹介を行うはこびとなりました。ご家族づれで四所をめぐり、京の雛まつりをご堪能ください。