スイスは、アルプス山脈とジュラ山脈で国土の7割を占める山の国です。スイスと聞けば、誰もが3000~4000m級の雄大な山々や氷河の感動的大な自然を思い浮かべることでしょう。その気高く美しい山々は、多くの芸術家を魅了し、彼らはその思いを美術作品に昇華させました。本展では、それらスイスの山々が織り成すアルプスの世界を油彩、水彩、写真、立体・映像など125作品でご紹介します。
スイスの山岳絵画の歴史は、18世紀後半に近代登山が始まったころ、山岳調査の科学者たちに同行した画家が、記録として描きとめた山の絵がきっかけと言われています。本展は、山岳絵画の創始者ともいうべきカスパー・ヴォルフの作品に始まり、ジョヴァンニ・セガンティーニやジョヴァンニ・ジャコメッティ、そしてフェルディナント・ホドラーが描く、すがすがしいアルプスの風景を紹介。また、ドイツ表現主義の画家でありながら、スイスでも主導的な活動をしたエルンスト・ルートヴィヒ・キヒルナーとその追随者たちの幻覚のような色彩と激しいコントラストで描く力強い作品、パウル・クレーやクーノ・アミエらの作品も見逃せません。
さらに、ポップ・アートを経て現代に至るまでの作品では、ブルクハルトやリューシャーの写真や、シュトゥダー&ファン=デン=ベルクのCGアート、シュタイナー&レンツリンガーのオブジェ、そしてリストのインスタレーションなど様々な技法でスイスの山々を表現した、クールな作品も充実しています。これらの作品を通じて、凛としたスイス・スピリッツと共に、この国の個性と芸術的な豊かさを感じとって頂ければと思います。
本展は、日本においてスイスの現代文化を紹介する「0406スイス・コンテンポラリー・アート・イン・ジャパン」の一環として、スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団とスイス大使館の協力により開催されるものです。雄大な山の風景をどうぞお楽しみください。