日本を象徴する名山である富士山は、古くは万葉集に詠まれ、日本絵画の好みの題材として、広く親しまれてきました。江戸時代には御用絵師であった狩野探幽を始め尾形光琳、円山応挙、そして葛飾北斎など諸派の画家たちが好んで取り上げ、昭和期には横山大観たちが、その美しさに魅かれ、多くの名作が生まれました。
富士山は、眺める場所によって、また見る人により、さまざまな形や色、姿があるといわれますが、それはあたかも見る人の心を映し出しているかのようです。富士山は日本人にとって心の故郷であり、また美のシンボルでもありますが、千変万化する富士山の魅力を、それぞれの作家の個性でとらえた作品によって、ご覧ください。
本展では、富士河口湖町立河口湖美術館の所蔵品を中心に、約50作家90点の富士山を題材とした作品を展示いたします。