江戸幕府によって宿駅が設置されて以降、物資の流通や文化の伝播に大きな役割を果たして飛躍的に発展した東海道。
その東海道を描いた作例として、関野凖一郎、川瀬巴水という2人の近現代版画家が描いた当館所蔵の東海道シリーズをご紹介します。
関野凖一郎(1914―1988)は、国内外で数々の受賞経験を持つ現代木版画界の巨匠として知られていますが、彼が日本とその風土を見つめなおす必要性を感じた結果として完成させたのが、当代の東海道宿場町を描いた「東海道五十三次」でした。
一方、川瀬巴水(1883―1957)は、大正時代におこった浮世絵版画復興運動の代表的な版画家であり、生涯全国を写生旅行して日本の風景を写実的かつ旅情味あふれる表現で描きました。「東海道風景選集」は、そういった写生旅行の集成としてまとめられた作品のひとつです。
かわら美術館では、関野凖一郎作「東海道五十三次」(全55図)については全図を、また、川瀬巴水作「東海道風景選集」(全26図)については6図を所蔵しています。
本展では、これらを展観することによって東海道を辿ります。