書は東洋における最も美しい芸術の一つです。王羲之らによってその芸術性が高められた書は、中国では王朝の交代や民族の興亡を越えて脈々と受け継がれてきました。
日本の書は漢字の伝来に始まりますが、唐王朝が衰微してその影響が薄れると、和様の書が全盛を迎え、また、独自の繊細で優美な仮名の世界が展開することとなりました。その一方で、禅や儒学の興隆による中国書法の大きな影響も見逃すことはできません。
本展は、中国における書の歴史、その影響を受けながら独自の世界を築いてきた日本の書の展開を、両国の書の名品をそろえて概観するものです。日中の書の歴史を振り返り、さまざまな文化や思想を背景として形成された美しい書の世界に迫ります。