江戸東京博物館には、毎年多くのみなさまから資料寄贈のお申し出があります。平成16年度は、59名の方から6644点の資料をご寄贈いただきました。この新収蔵品展は、寄贈者のみなさまへの感謝の気持ちをあらわすとともに、当館の資料収集の実際を広くご覧いただき、博物館活動への理解を深めていただくことを目的に開催します。
ご紹介する資料の中には、「旧陸軍円匙(スコップ)」や「学童集団疎開日記」など、戦後60年の節目に博物館に寄贈された資料や、江戸時代からの地下室の様子を示す「天野屋糀室絵図」など、再開発の波の中で消えつつある珍しい作業空間を示す資料があります。そのほかに、櫛かんざしを作るかざり職人の道具と製品、日本画家・奈良裕功の描いた東京のスケッチなど、美術工芸的な価値に加え、技術や当時の人々の生活の様子を知る上でも貴重な資料も展示します。
資料ひとつひとつにそれぞれの伝来、それぞれの価値があります。この展示が観覧者のみなさまの身近な品やその歴史を再認識するよすがになれば何よりです。