明治から大正にかけて、日本の洋画界に中心的な存在として君臨した黒田清輝(1866-1924年)。黒田は現在の鹿児島県に生まれ、1884(明治17)年からフランスに留学しました。9年間の留学を終えて帰国すると、黒田がフランスで身につけた外光表現は若者たちの心をとらえ、たちまち美術界の大きなうねりとなっていきました。1896(明治29)年からは東京美術学校西洋画科の指導者となり、多くの若い才能を育てていきます。また官設展「文部省美術展覧会」の創設に尽力し、後年は貴族院議員や帝国美術院長を歴任するなど、美術行政の分野でも活躍しました。近代日本洋画の骨格を形づくったひとりといえます。
黒田の遺言で創設された美術研究所(現・東京文化財研究所)のコレクションをもとに、黒田の画業をご紹介します。